アオテアロアと日本の共通性

 観光旅行先として人気が出てきているニュージーランドで、オークランドとロトルアとワイトモ洞窟の三角形を五日間ほどでまわる日本人ツアーをキーウィ(ニュージーランド人)たちは全く理解できないものとして観察しているけれど、こうした短期間の旅行であってもアオテアロアニュージーランドが日本とかなりの共通性を持っていることがわかる。
 たとえば、互いに海に囲まれた島国であること。火山国であること。そして温泉があることだ。
 またクリーン・グリーンのイメージで、のんびりした国だから、たしかに今日の日本人が学ぶべきものがニュージーランドにはある。学ぶべきは、「必要にして充分」という意味での実質的なスローライフである。ニュージーランドで走っている車の95%が日本の中古車であることをとってみても、まだまだ使えるものを使いこなすことがキーウィはとても上手だ。
 ところで、日本人に案外知られていないことは、アオテアロアニュージーランドの、とりわけアオテアロアと日本との類似性であろう。
 たとえばマオリ語と日本語の母音の近似性である。
 日本語の母音は、言うまでもなくアイウエオだが、マオリ語ならこれがアエイオウなのだ。つまり順番が違うだけで、母音の発音そのものは全くといっていいほど同じなのである。今回私は、北島はハミルトン(キリキリロア)にあるワイカト大学(The University of Waikato)で応用言語学とともにマオリ語の初級講座を受講する機会をえたが、短母音の発音だけに限っていえば全くと言っていいほど問題はなかった。
 またマオリのハンギ料理は有名だが、伝統的ハンギ料理が土中で料理することを除けば、日本の蒸かしじゃがいもや蒸かしとうもろこしとの近似性を感じとることに困難はないけれども、マオリが海産物を好んで食べることは案外日本人には知られていないかもしれない。
 私はマッスル(ムール貝)をそのまま食べる生の食べ方をマオリのクラスメートから教わったが、これは刺身の好きな日本人好みの味で、まさに絶品だった。マオリの知人宅でアワビを生でご馳走になったこともあるが、潮干狩り感覚で、マオリはアワビやウニ(キナ)を海から採取して食べるのである。マオリにとっての海は、自然の冷蔵庫であるからに他ならない。南島にあるカイコウラというクレイフィッシュ(伊勢海老)を食べることにちなんだ地名の町があるけれど、実は歴史的には昔からアオテアロア全土がそうした土地柄であったし、ワイカト大学(The University of Waikato)近くを流れる美しいワイカト川ではウナギが重要な食料源であったのだ。
 魚がうまいアオテアロアニュージーランドで私は寿司パーティを何回か開いたが、これはイギリス系キーウィよりも、マオリの方が喜んでくれた。これも、マッスルやウニ、そしてアワビを生で食べるマオリの食文化によるところが大きい。アオテアロアの伝統的食文化に沿った食文化を日本人が共有しているのだから、当たり前といえば、これは当たり前の話なのである。