新聞記者からインタビューを受ける

 ワイタンギの広場には、白い制服に身を包んだ海軍の兵隊たちも来ている。
 広場の木陰で雨宿りをしていると、近くにマオリの男性が同じく雨宿りをしていたので彼に話しかけてみた。なんと彼はハミルトン在住で、毎年ワイタンギに来ているという。ワイタンギ・デーをニュージーランド・デーにしようという動きについて私が質問してみたら、そうした動きがあるけれど、そうはいかない。これはワイタンギ・デーなのだと、彼は強調した。
 娘と私が木陰で雨宿りをしながら、マオリのこの男性と話をしていると、ニュージーランドヘラルド(New Zealand Herald)新聞の記者がインタビューしたいと、私と娘に話しかけてきた。
 「アオテアロアニュージーランド」というキーワードで、私はこの記者に話をしながら、日本のアイヌの話もした。日本と比べたら、1987年にマオリ語が公用語化をかちとったことひとつとってみても、ニュージーランドマオリの前進はすばらしいと。
 ニュージーランドの歴史をよくご存知ですねと評価されながらも、この記者は、ワイタンギ・デーの雰囲気はどうですかと、しきりに聞く。2時間前に来たばかりで何も見ていないのでコメントできないと断りながらも、テレビで見たのだが、銃で抗議をするマオリに対して取り締まらないのかという議論が議会であったけれど、ワイタンギ・デーそのものは、抗議一辺倒で過激という感じはしないと私は述べた。
 私に続いて、娘も、この記者にインタビューされることとなった。
 インタビューが終わると、先ほどのハミルトン在住のマオリとその友人が、「あっちでは、銃が21丁くらいあるらしい」と、微笑みながら語っていた。もちろんこれは、人間に向かって本気で打ちまくるわけではないだろう。言ってみれば、マオリのパフォーマンスである。
 先ほどの記者に私が質問したのだが、白い制服を着た海軍は、白人の側の代表ということらしい。ワイタンギ・デーは、白人とマオリの両方にとってのワイタンギ・デーだからだ。イベントとしては、両者がそろわなければ、役者不足になってしまうというところなのだろう。