日本は、やるべきことをやらず、やらなくてよいことをやっている

郵政民営化は愚策ではないか

 日曜日の朝、郵政民営化のテレビ討論を見ていたら、本来やるべきことをやらず、やらなくてもよいことをやっているのが、今の日本の姿だと思った。
 民営化したら、もうからない郵便事業所は、なくなってしまう。つまり、サービス低下は必至だ。
 明治の時代に日本の郵便事業の基礎をつくった前島密じゃないけれど、国内にはりめぐらされた通信網、郵便事業は、言うまでもなく国の経済や国民の暮らしの基本であり土台である。
 インターネットが便利といっても、世界をみれば、まだまだデジタルディバイドが支配的だ。南北問題をいうまでもなく、少なくともコンピュータと電話線がなければインターネットのネットワークに入ることだってできやしない。その電話線がADSLやケーブルテレビ、さらに光ファイバーになろうとしている今日、各国間のデジタル化の格差はやはり無視しえない。
 その点、インターネットと比較すれば時間がかかることから「かたつむり郵便」(snail mail)とあだ名がつけられようとも、世界に張り巡らされた従来の郵便網は偉大だ。
 インターネットやワープロが便利といっても、従来の通信網や紙と鉛筆にはまだまだかなわない。パソコンがなくても世界の隅々まで郵便は届けてもらえるし、紙と鉛筆は、パソコンも電気を使わないからだ。
 JR西日本の事故を思い出すまでもなく、郵政民営化は愚策である。
 さて、やるべきことをやらず、やらなくてよいことをやっているということでいえば、憲法改悪の動きもそうだ。第二次世界大戦中の侵略戦争をすすめた教訓から、不戦の誓いをたて、平和憲法をつくりあげたのに、やるべきことをやらず、やらなくてもよいことをやっている。
 小泉首相による靖国参拝も教科書問題もそう。朝鮮・中国などの隣国や諸外国で反日感情が高まり、国益だって損ねている始末だ。
 JR西日本の事故も、安全装置の設置など、やるべきことをやらず、やらなくてもよい日勤教育などの労働者いじめをやっている。
 昨日、15日は沖縄復帰33年で、普天間基地人間の鎖で包囲したようだ。日本の米軍基地も、いらないもののひとつだ。
 それで、こうしたことをきちんと伝える使命をもっているはずのメディアも、やるべきことをやらず、やらなくてよいことをやっていると言わざるをえない。ちゃんとした論客を使わず、お茶を濁してばかりで、本質をつくことをしない。
 テレビに登場する政治コメンテーターはタレントばかりだし、番組もお笑い芸人によるふざけた番組ばかりだ。
 劇作家の飯沢匡さんではないけれど、「武器としての笑い」なんてものもすでにないから、お笑い芸人ですら、やるべきことをやらず、やらなくてよいことをやっていると言うしかない。
 やるべきことをやらずして、やらなくてよいことばかりやっている悲しい現状が今日の日本だ。