「未来をひらく歴史」を読み始める

未来をひらく歴史

 注文していた高文研の「未来をひらく歴史―日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史」が届いた。
 日本、中国、韓国の研究者が共同で執筆し、三国で同時発売されるという。
 まだ斜め読みだが、なかなか興味深い。
 とにかく、小泉首相靖国神社参拝問題によって、韓国や中国で、反日の動きが強まる情勢下である。この手の本の出版が、たいへん意義ある仕事であることに間違いはない。
 コラムがところどころに挿入されているので、残りの部分は通史かなと思って読み始めると、日本、中国、韓国と、見開き2ページで読みきりのものが続いたりするので、構成やレイアウトは多少とまどう点がある。けれども、その内容は、従軍慰安婦の箇所など、涙なくしては読めない。
 それに、日本、中国、韓国の視点が与えられることからくるのだと思うが、ああ、あれはそういうことだったのかと、改めて気づかされることも少なくない。
 同じ職場に働く一人が執筆と編集に関わったことを偶然聞いたが、注目すべき労作であることに間違いはないだろう。
 大きく評価したうえで、多少の欲をいえば、先に指摘した構成とレイアウトの問題で、三国分担での執筆というより、三国による通史が欲しいところだ。ただ三国による通史をつくることは困難であるに違いない。それでも、三国で意見が分かれるところは、意見が分かれていると分かるような記述で書かれたものがあるともっといいと思うけれど、おそらくそれは次世代の課題になるのだろう。
 いずれにせよ、「未来をひらく歴史」は、多くの日本人に読んで欲しい一冊である。
 以下のサイトで出版のニュースや編集会議での論点などが紹介されている。
http://www.janjan.jp/world/0505/0505267526/1.php
http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200505280175.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050526-00000195-kyodo-int