空港まで車で送ってもらった。切符の手配も蘇さんがやってくれる。
ガイドの蘇さんと別れて、飛行機への搭乗を待ちながら考えたのだが、今回の旅行を通じて、台湾はアイデンティティを模索中なのではないかという印象を私はもった。地理的にどこが台湾なのかということもまだ決まっていないし、台北だって首都とは言えないのだ。中国、日本、アメリカ合州国に挟まれて、台湾は自分の姿を探し出しているというような気がした。
そう考えたら、日本も同じような気がしてきた。
その昔、雑誌タイムで、カバーストーリーでアイデンティティを模索中の日本という特集記事があったけれど、まさに日本だってアイデンティティを模索中と言えるのかもしれない。
英米とアジアとの狭間において、さらにアジアの中にありながら政治的にアジアを切り捨てている日本の現実の中で、またアメリカ、アメリカと騒ぐわりには、アメリカ合州国すら理解できていないのではないかという意味において、独立国と言われる日本だって、いまだアイデンティティを模索中と言えるのではないだろうか。
そんなことを考えながら、私は飛行機に乗り込んだ。