’Blowin’ In The Wind’ の ”before you call him a man”

The Freewheelin’ Bob Dylan

 高校時代に順番としてPeter Paul & MaryのBlowin’ In the Windを聞いてから、友人のすすめでBob DylanのBlowin’ In the Windを聞くことになった俺は、次の二行目のmanを「きちんとした人間」「人間らしい人間」と、ずっと思っていた*1

How many roads must a man walk down
Before you call him a man

 ところで、黒人が大人になっても差別的にboyと呼ばれていたことくらい、本多勝一の「アメリカ合州国 (朝日文庫)」や、さまざまなアメリカ映画から知っていた。
 先日紹介した「ロックの英詞を読む ―Rock Between The Lines」で、ピーター・バラカン(Peter Barakan)氏が、「まず最初の2行は、人が人として正当に扱われるためには、あとどれだけの道のりを経なければならないのか、という意味ですが」と書いているのは当然だ。
 ところが続けて、「もしかすると黒人に対する差別がなくなる日のことを歌っているのかもしれません。たとえば黒人はどんなに大人になっても、manではなく、boyと呼ばれたりすることがあったわけです」と書いている。
 なるほど。これは迂闊でした。
 Muddy Watersの唄にあるように、I'm a full grown man. I'm a manといえば、boyじゃないということだろう。
 大人の黒人がboyと蔑称として白人から呼ばれることだって知っていたのに、理解が浅かった。
 ピーター・バラカン氏は、詞(詩)の解釈はいろいろあるだろうからとこの本の中で控え目に書いているけれど、そのように行間を読まないといけないことがたくさんあって困る。

*1:Peter Paul & MaryのBlowin' in the windをあらためて聞いてみたら、彼らは、How many roads must a man walk down Before they call him a manと歌っていた。youとtheyの細かな違いだが、ニュアンス的には大きく違う気がする。