長年英語教師をやってきたから "Get out." が「出てけ」の意味であることは当然知っている。
けれども、"Get out !" に「うそ」「まさか」「信じられない」のニュアンス*1があるとは知らなかった。
(ええ、本当なの) これを知ったとき、まさに、"Get out !"(ええっ!)の気持ちであった。
そういえば、最近、NPRのラジオ番組"Car Talk"を聞くようにしているのだが、この番組のパーソナリティである Tom や Ray が相手の言っていることに反応して"Get out!"と言っていることがよくある。そして、それを「信じられない」の意味でとらえると、ぴったり来ることに気がついた。”Are you kidding me?”(冗談だろ、かつぐつもりか)に近い。
get や out など、基礎語彙としてすでによく知ってるつもりの単語でも、使われ方やニュアンスがわからず、こうした例に出会うと、まさに絶望的な気持ちになる。
職場のイギリス人の同僚に聞いてみたら、"Get out !" は、アメリカ英語で、自分だったら、"No way!" を使うだろうと言っていたから、"Get out!" や "Get out of here!" はたしかにアメリカ英語なのだろう。
*1:get out のコアの意味が「出ていけ」の意味であることは間違いない。ただし、アメリカ英語では、信じられないことを相手が発言したとき、「出てけよ(get out)」という返答をすることがありうるということなのだろう。日本語でも、相手が信じられないことを発言したときに、「(うそだろ)出てけよ」という返答が市民権を得る日も来るかもしれない。私も含めて何人かには今はピンと来ないだけの話で、「出てけよ」と白けて発言することがはやる日が来るかもしれない。ただし、get out=ウッソーと丸暗記することは意味がない。機械的学習では、コトバの派生的・多義的ニュアンスには太刀打ちできない。この辺を教えることに実は教育の真の意味があると思うのだが。