公立入試で推薦選抜、各地で廃止

 公立高の入試で、推薦選抜が各地で廃止されているようだ。
 以下は朝日新聞から。

公立高、推薦入試の廃止相次ぐ 学力不足を不安視
2008年04月13日03時01分

 公立高校入試で、推薦による選抜を廃止して筆記試験に一本化する動きが各地で相次いでいる。推薦は学力検査よりも早く実施されるため、早めに合格を決めたいと考える受験生が増えた。このため中3の3学期の授業が成り立たず、高校入学に必要な学力が本当にあるのか分からないといった不安が背景にある。


 埼玉県では2010年度から自己推薦(前期)をやめる。前期では5教科の学力検査を新たに始め、募集総数の8割を取る。前・後期の事実上の一本化を目指すが、後期もしばらくは残し3教科検査で残りの定員を取る方針だ。

 推薦を衣替えして05年度に始まった自己推薦は、中学校からの書類が不要になり、誰でも出願できるようになった。さらに、定員割れを防ごうと推薦枠を広げる学校も相次いだ。その結果、自己推薦組は合格者全体の4割近くに増え、入学者の65%に達する学校も出てきた。

 自己推薦には当初から学力検査がないことを不安視する声があった。そのため約半数の学校では総合問題というテストを課し、独自で問題を作る学校も8校ある。しかし、県教委は(1)試験が複数・長期化することで、中学校で3学期の授業が成り立ちにくくなった(2)高校側にとっても問題作成の負担が大きい――として全面廃止を決めた。

 和歌山県では07年度から推薦入試(前期)をやめた。「早く合格したい」と、志望校を変えてでも前期で済ませる受験生が増えたためだ。前・後期の区別は維持しているが、前期でも5教科の学力検査が必要になった。

 逆に、前・後期制を今春から一本化したのが静岡県だ。

 前期では定員枠を設け、学力検査を嫌う生徒が集中するのを防いでいた。ところが、同じ学校を2回受け、最初に不合格を体験する生徒が続出。その心理的な影響や「3学期は授業にならない」という中学側からの声で、見直した。県教委は「ほとんどが5教科の試験を受けるようになるので、学力向上につながるはず」と期待する。

 三重県では今春から、(1)校長推薦(2)特色化選抜(3)1教科のみで受けられる自己選択選抜(4)一般試験と4段階に分かれていた入試を、(1)〜(3)を統合して前期に、(4)を後期にと簡素化した。前期では、51校中7校で最大2教科の学力検査を新たに課す。(平岡妙子)

     ◇

 〈公立高校入試〉 前・後期に分ける都道府県が多い。まず、主に中学校長か本人の推薦文の審査と面接を組み合わせた推薦入試が1月末から始まる。その後、2月末から3月にかけ、学力検査を課す一般入試がある。推薦入試の導入には、受験競争の過熱を懸念し「15の春を泣かすな」という世論の下、意欲や中学での生活態度を重視したいという狙いがあった。