「真の文明は山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし」(田中正造)

日本人は何を考えてきたのか 明治編


 まだ全部を読み終えてはいないのだが、「日本人は何を考えてきたのか 明治編 文明の扉を開く」(NHK出版)を読んでいる。
 高校時代に習った足尾銅山鉱毒事件を糾弾し続けた田中正造の次の言葉は、約100年後の福島第一原発事故を予言しているかのようだ*1


 

 真の文明は山を荒らさず
 川を荒らさず
 村を破らず
 人を殺さざるべし
 
 いま文明は虚偽虚飾なり、
 私欲なり、
 露骨的強盗なり

                「田中正造日記」(1912年6月)


 この本の中では、自由民権の志を福島で貫いた苅宿仲衛(かりやどなかえ)や後に「五日市憲法」として知られることになる千葉卓三郎が紹介されている。私は彼らの名前も聞いたことがなく、浅学を恥じ入るばかりだ。
 進歩的な憲法草案を書いたことで知られる植木枝盛。「知の巨人」で、エコロジストであった南方熊楠。冒頭で紹介した議会に絶望し議員を辞任し、死を覚悟で天皇に直訴を決意した田中正造。彼らの名前は知っている。高校時代に習いもしたけれど、日本の歴史をもっと知らなければならない。自分のものにするほど、学ばないといけない。
 本書では、他に、中江兆民福沢諭吉幸徳秋水堺利彦らが紹介されている。
 

*1:「日本人は何を考えてきたのか 明治編」の中にも、「3・11後の報道のなかで、京都大学小出裕章氏やミュージシャンの坂本龍一氏など多くの方々が正造の言葉を引用して語って」いたとある。また、「熊本大学の小松裕教授も『真の文明は人を殺さず』と題した田中正造論を3・11後、刊行」したと紹介している。