Avery Cormanの小説”Oh, God!”の映画化作品は、John Denver, George Burnsが出演した1977年の映画だった。
かけだし英語教師の頃、”Oh, God!”は大いに気になっていた映画で、教室授業で扱いたいと思っていた1本であった。
当時は、ビデオデッキも一般に出回っておらず、ペーパーバックも手元になかったので、ペーパーバック自体を探していた。だから、はじめての海外滞在として、アメリカ合州国はサンフランシスコで、”Oh, God!”のペーパーバックを手にできたときは随分と嬉しかった。
これは30年以上も前の1981年の話である。
映画”Oh, God!”は、VHSビデオも売り出されず、選択授業で教材として扱ったときは、たしかテレビ映画で放映されたときのビデオ録画を使ったと思う。
映画”Oh, God!”は、DVDとしても、なかなか発売されなかった。
今日、レンタルビデオ屋で、たまたま映画”Oh, God!”を見つけたときは、だからとても懐かしかった。
早速借りて、久しぶりに鑑賞したら、面白かったけれど、残念ながら当時のような感動はなかった。
なぜあれほど”Oh, God!”を教材として扱いたかったかといえば、リスニングの力がなかった当時の私でも、それなりに多少は英語がわかったからだと思う。全部でないにしろ、英語がわかった感動があったからに違いない。
あくまでも相対的な話でしかないのだが、映画”Oh, God!”の英語は、ビギナーにもわかりやすいところがある。
ひとつには、そもそも映画というものは、ラジオや電話*1と違って、情報入手として動画で半分以上は理解できるメディアである。そうした動画による情報理解のうえで音声の理解もすすむ。さらに言えば、映画”Oh, God!”のセリフは、"Bingo!"など、比較的短いものが多かった。神様役のジョージ・バーンズと、スーパーマーケットのマネージャーであるジョン・デンバーとの会話は、ジョン・デンバーが神様に会って動揺していることもあって、比較的短く、シャレていた。従ってわかりやすい。それで、リスニングのビギナーの私でもわかりやすく、英語がわかる感動があったのだろう。
映画を見てもらえば、納得していただけると思うが、“Oh, God!”は、筋からしても追いやすい。神様はいるのかいないのか、一つのテーマが繰り返されて拡大発展しながら進行していく*2。Whodunit(ミステリー)のような複雑さがない。
それと、多分に錯覚なのだが、聞き取れた感動ともかかわるのだが、英語のロジックがわかった気がしたことも大きいだろう。日本語で理解したのではなく、英語で理解したことの、なんというか理解の違いである。例えば”It’s up to you.(「お前さん(の決断)次第だ」)”の論理を英語で理解できたことは、英語の世界に入ったというような、それまでにない得難い体験であった。
今回久しぶりに鑑賞したときは、以上のようなことは考慮に入らず、映画としてどうかという評価になるから、その映画評が厳しくなるのは当然のことなのだろう。
悪い映画ではもちろんないのだが、当時のような英語学習の熱気が自分の中にないことを率直に認めざるを得ない。
当時は、George Burns が誰かも知らない時期だった*3。
少し淋しくもあるが、そんなことを感じながら、”Oh, God!”を久しぶりに鑑賞した。