「安保法案、こう思う 赤川次郎さんら著名人、意見発信」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2015年9月16日14時49分)から。

 安全保障関連法案をめぐり、俳優や歌手ら著名人の発言が目立っている。この夏以降、多くの憲法学者から「憲法違反だ」との見解が示されたことや、衆院の特別委員会で採決が強行されたことをきっかけに、SNSなどを通じて発信された意見は多様だ。一方、「三毛猫ホームズ」などで知られる作家の赤川次郎さん(67)は今月上旬、安保法案について朝日新聞のインタビューに応じた。

 赤川さんは法案について「成立すれば自衛隊アメリカの『下請け』になる」と批判。「抑止力になる」として採決を目指す安倍晋三首相の姿勢については「戦争することで平和になります、と国民を言いくるめている」と指摘した。

 安倍首相が「日米同盟の強化につながる」と主張する法案の一つに、周辺事態法を改正する重要影響事態法案がある。地理的な制約をなくし、戦闘中の米軍などを後方支援する内容で、野党は「米国の戦争に巻き込まれる」と懸念を示している。

 安倍首相が「私は総理大臣なんですから」と国会で答弁する姿などが、赤川さんには「自分が決めたことなんだからこれでいい」と思っているように見えるという。「絶対君主制の皇帝のような気持ちでいるように映ります」

 一方、こうした姿を「頼りになる」とする空気が社会にあるとも認識している。「いまの時代は、自分が不当に扱われていると感じると、政治が間違っていると思うのではなく、弱い人に向かってはけ口を求めている」。安倍政権は、短い言葉で、そんな社会の中の「不機嫌さ」を利用しているように見えるという。「現実はもっと複雑だし、民主主義も手間がかかって面倒臭いものなんですが」

 法案をめぐる動きの中で希望も感じているという。人それぞれの中で譲れない点が浮き彫りになり、わき起こる行動力だ。「若い人は軽々と一線を越えられる。若い人にこそ声をあげてほしい」。無理をしないでやっていくことやユーモアも大切だという。「政治をユーモラスに風刺するには知識もいる。それに、面白いと長続きするんです」

 戦後生まれの赤川さんに戦争の記憶を伝えたのは母親だった。1946年ごろに旧満州から福岡・博多に引き揚げ、48年に赤川さんを産んだ。旧満州で日本軍が中国人に横暴な振る舞いをしていたことなどを振り返りながら「軍人は信用できない」とよく語っていた。

 赤川さんはもともと「作家は言いたいことを物語に込め、政治的な発言はしない」と考えていた。だが99年、日の丸・君が代を国旗・国歌とする国旗・国歌法が成立したことに疑問を感じたときから、徐々に発言するようになったという。今回のインタビューには「作家としてではなく一人の国民としての発言」として応じた。(柴田菜々子)


■安全保障関連法案をめぐる著名人のコメント(敬称略)

●田村淳(お笑い芸人)

安全保障関連法案可決… 国民への説明が不十分だと認識しながら可決へ… 国民がこの法案の理解を深めないと賛成、反対の判断できないと思う。政府は説明の努力 国民は法案理解の努力 共に必要だと感じました お前が政治を語るなと言う人へ 僕も国民なので語りたいです。(7月15日、ツイッターで)

つるの剛士(タレント)

「反対反対」ばかりで「賛成」の意見や声も聞きたいなぁって報道やニュース観(み)ていていつも思う。賛成派だって反対派だって平和への想(おも)い、戦争反対の想いは同じ。大切なコトだからこそ若い子達だって感情的、短絡的な意見にならないために色んなこと公平に一緒に考えたいよね。(7月15日、ツイッターで)

岸田繁(人気グループ「くるり」のボーカル)

長い時間掛けてでも、武器も持ち他所(よそ)を侵略する側に自分はおらんようになりたいと強く思う。(7月15日、ツイッターで)

長渕剛(歌手)

どの時代でも、戦争になった場合、子どもたちが銃を持っていくのです。そして犠牲がどんどん出る。僕ら行かない人間が語るべきことは、絶対にこういうことをしないようにするにはどうしたらいいか、ということ。(7月19日、テレビ番組で)

久保田利伸(歌手)

殺さない、殺されない。この時代、この平和ルールを保持する国がどれだけ尊いものか。(7月22日、ツイッターで)

渡辺謙(俳優)

一人も兵士が戦死しないで70年を過ごしてきたこの国。どんな経緯で出来た憲法であれ僕は世界に誇れると思う、戦争はしないんだと!複雑で利害が異なる隣国とも、ポケットに忍ばせた拳や石ころよりも最大の抑止力は友人であることだと思う。その為(ため)に僕は世界に友人を増やしたい。絵空事と笑われても。(8月1日、ツイッターで)

震災の後、不眠不休で救助、救援活動に命を賭けていた自衛隊の皆さんの姿は今も目に焼き付いています。世界に誇れる方々です。国会での答弁から見えてきた、政府の定見なき推測だけで武器弾薬を携えて彼らを任地に向かわせる。未来のない戦いを強いられた栗林中将と何ら変わりがない気がしてならない。(8月28日、ツイッターで)

高田延彦(元プロレスラー)

憲法違反だって言ってるじゃないの。時の政権が姑息(こそく)な手法で好き勝手に貼り付けたインスタント安保法案がまかり通ることは絶対に許せませんよ。(8月8日、ツイッターで)

今井絵理子(歌手)

今日は8月15日、終戦の日です。テレビでもネットでも戦争のことが流れている。体験者が語る戦争の怖さ、苦しみ、悲しみ。目の前で仲間が死んでいく、我が子が戦地にいく、その想いを想像するとわたしは生きていけない。死が怖いことは、まだ生きたいっていうこと。戦争は何があってもダメ。戦争を経験した方で戦争賛成派の方いますか?もしそういう方がいらしたら、どうして賛成なのかを聞きたい。戦争を経験していない人が賛成!というのは、どこか説得力がないでしょ。今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?(8月15日、ツイッターで)

竹下景子(俳優)

 私の父は、3年間シベリアの捕虜収容所で抑留されました。凍土に眠る戦友に対して申し訳ないと言い続けていました。母は女学生でしたが、大空襲で防空壕(ごう)に避難していた同級生何人もが焼死しました。

 日本が戦争する国になれば、被害者であるのと同時に加害者にも成らざるを得ません。

 また、かつて文化や芸術が戦意高揚の手段として用いられ、その一方で自由な思想や表現が弾圧を受けた事実を私達(たち)は記憶しています。

 日本を二度とそのような国にしてはなりません。

 ふるさとを大事に思う一人として、そして芸術文化に関わる者のひとりとしても安保法案に強く反対します。(8月25日、コメント)