以下、朝日新聞デジタル版(2017年6月13日05時02分)から。
政府・与党が「共謀罪」法案を週内に成立させ、18日までの会期通りに国会を閉じる方針を崩さないのは、「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題への批判が広がるなか、安倍晋三首相の見解をただす集中審議の開催を含め、野党側の追及を封じる狙いがある。終盤国会の窮屈な日程のなか、野党が持つ抵抗の「切り札」を早くはき出させ、逃げ切りをはかる構えだ。
「13日に採決しないことは確約できない」。自民党の松山政司参院国会対策委員長は12日、民進党の榛葉賀津也参院国対委員長と国会内や電話で3度会談し、13日の参院法務委員会で共謀罪法案を採決しないように求める榛葉氏の要求を拒み続けた。
与党の狙いは、採決の構えをちらつかせながら、委員長職権で13日の法務委開催を決めることで、金田勝年法相の問責決議案や安倍内閣不信任案といった、審議を遅らせることができる野党の「カード」を早めに切らせることにあった。
国会最終盤で与党は、参院法務委の定例日(火・木曜)以外も使って、野党の抵抗を封じる構えだ。仮に野党が13日以降に問責決議案や内閣不信任案を出しても、衆参両院の本会議で否決して委員会で採決を求めていけば、16日までに共謀罪法案の成立が見込めるというわけだ。
一方、文部科学省が内部文書を再調査中の加計学園問題について、民進、共産、自由、社民の野党4党は12日の国対委員長会談で、13日正午までの結果公表と、安倍首相出席の予算委集中審議、前川喜平・前文科事務次官の証人喚問の開催を求めることで一致した。
だが、自民の竹下亘国対委員長は野党の要求をいずれも拒否。自民党幹部は集中審議などについて、「会期末が近づいている。もっと厳しくなった」として、時間切れを理由に逃げ切りを図りたい考えだ。
与党側は共謀罪法案を成立させた後、さらに性犯罪を厳罰化する刑法改正案の会期内成立もうかがう。衆院では全会一致で通過しており、野党も抵抗しづらいと見て、一気に押し切る構え。野党の抵抗で仮に会期を延長したとしても、23日告示の東京都議選への影響を避けることを最重視し、小幅にとどめる算段だ。(田嶋慶彦、寺本大蔵)