「憤る沖縄「死人出なければ動かないのか」 松本氏辞任」

 以下、朝日新聞デジタル版(2018年1月26日21時08分)から。

 沖縄県で続発する在日米軍機の事故やトラブルを巡り、国会で「何人死んだんだ」とヤジを飛ばした松本文明内閣府副大臣自民党)の発言に対し、沖縄では憤りの声が相次ぎ、「辞任は当然」との受け止めが広がる。しかし、県民の感情を逆なでするような発言はやまない。

 23日に米軍の攻撃ヘリが不時着した沖縄県渡名喜(となき)村の桃原(とうばる)優村長は、取材に「怒りを通り越して笑うしかない。責任を取るのは当然だ」と話した。集落がある渡名喜島から4キロ西に浮かぶ島は米軍の射爆場で、爆撃の音が集落まで届く。「攻撃ヘリがいきなり村のヘリポートに降りてきた。それを住民がどんな気持ちで眺めたか。私たちの気持ちとしては『死』という例えが出てくる発想自体が、全く理解できない」と話した。

 沖縄では昨年12月から米軍関係のトラブルが相次いでいる。米軍ヘリの部品が屋根で見つかった宜野湾市の緑ケ丘保育園の神谷武宏園長(55)は26日、講演先の福岡市内で取材に応じ、「この1カ月半、たまたま死人が出ていないだけ。死人が出なければ政府は動かないのか。人権を守る政治家の資格がない」と憤った。「沖縄の状況、沖縄の民に向き合わない政府に憤りを覚える」とも話した。

 松本氏の辞任について、現職と、政府が支援する新顔が一騎打ちとなる見込みの名護市長選が28日に告示されることを挙げ、「市長選の前だから、沖縄の怒りをしずめるために切ったということでしょう」。

 昨年12月に米軍ヘリの窓が落下した宜野湾市普天間第二小学校に6年生の長男が通う宮城智子さん(48)は、発言について「私たちの立場には立っていない。沖縄はこれでいいだろう、我慢しろという態度に思える」とため息をつく。「じゃあ、何人死んだらあなたたちは動いてくれるんですかと聞きたい。きっと死者が出ても何も変わらないんじゃないですか」

 米軍は落下事故後、校庭上空を「最大限可能な限り飛ばない」と同校に答えたが、今月18日に沖縄防衛局が校庭上空を飛ぶ米軍ヘリを確認。校庭の使用再開のめどは立たない。

 沖縄の人々やその現状を軽んじる発言は松本氏にとどまらない。

 2016年10月には、大阪府警の機動隊員が、米軍ヘリパッド建設現場付近で抗議活動をしている人に「土人」と発言。鶴保庸介・沖縄北方相(当時)は国会で「差別的であるとは個人的に断定できない」と答弁した。野党から辞任を求める声が上がったが、鶴保氏は発言を撤回しない考えを示した。鶴保氏の姿勢に対し、沖縄県翁長雄志知事は「沖縄に気持ちを寄せる立場にあるのに遺憾」と反発した。

 15年6月にあった自民党議員の勉強会では、報道機関に圧力をかけるべきだという趣旨の発言があったほか、講師で作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は絶対につぶさなあかん」と述べた。

 野党の反発を受けて自民党執行部は2日後、勉強会の代表者らを処分。安倍晋三首相は翌月の国会で「非常識な発言」としたうえで、「私に責任がある」と認めた。