以下、朝日新聞デジタル版(2018年1月19日05時00分)から。
防衛省は18日、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校の上空を米海兵隊所属のヘリ3機が飛行したことを確認した。同小学校では昨年12月13日に米軍ヘリの窓が落下した事故が発生しており、18日は同小で同様の事故に備えた避難訓練が行われた直後だった。
小野寺五典防衛相が記者団に明らかにした。それによると、18日午後1時25分ごろ、米海兵隊の攻撃ヘリ「AH1」2機と、多用途ヘリ「UH1」1機の計3機が同小学校上空を編隊飛行しているのを防衛省の監視員や小学校に設置したカメラで確認した。いずれも今月上旬に沖縄県内で不時着した機体と同型機。
小野寺氏は「同小学校の上空の飛行回避を求めていたにもかかわらず、このような事態が起きた。避難訓練の直後に飛ぶのはあってはならないことだ」と指摘。在日米軍のシュローティ副司令官と省内で会談して抗議したと強調した。シュローティ氏は「事実確認を急ぐ」と回答したという。
菅義偉官房長官も18日午後の定例会見で「学校上空の飛行を回避するよう、(米側に)引き続き尽力をお願いしたい」と述べた。(相原亮)
■たった1カ月「なぜ」
学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」と米軍が応じてから、たった1カ月。沖縄では「なぜ約束を守らないのか」と憤りの声が上がった。
普天間第二小学校では、昨年12月13日の事故以来、休み時間も含めて校庭の使用を中止している。使用を再開していいか判断するため、ちょうどこの日から、米軍機が上空を飛んだ場合を想定した避難訓練を始めたばかりだった。
普天間第二小学校の喜屋武(きゃん)悦子校長は「大変残念。なぜ飛ぶことになってしまったのか説明してほしい。約束をしっかり守ってほしい」とのコメントを発表した。
学校のPTA会も15日に、沖縄防衛局に対し、避難設備を造るといった安全対策を求めていた。市教委指導課の加納貢課長は「これでは保護者の不安は消えない」と話した。
沖縄県は事故以来、県内にある全米軍機の飛行中止と緊急点検を求めているが、日本政府や米軍は応えていない。県幹部は「国は米軍に実効性のある対応を求めてほしい」。(小山謙太郎、山下龍一)