「負傷女児、ショックで口数少なく ヘリ墜落、震える住民」

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以下、朝日新聞デジタル版(2018年2月5日22時38分)から。

 バーンという大きな音とともに、民家へ真っ逆さまに落ちていった。佐賀県神埼市で起きた陸上自衛隊ヘリコプターの墜落は、住宅地を巻き込む異例の事故だった。小学生の女児がけがを負い、雪の舞う現場には残骸が飛び散った。「恐ろしかった」。難を逃れた住民は、恐怖で体を震わせた。

 「ガガガガダーンと音がして、自分の家に何かが墜落したかと思った」。道路を挟んで事故現場の向かい側に住む女性(73)は震える声で振り返った。外に出ると、最初は黒い煙が、間もなく火の手があがった。「ボンボン」と何度も爆発する音。周辺の田んぼや家のまわりには、墜落したヘリの残骸とみられるものが散らばっていた。

 墜落したヘリAH64Dは、神埼市千代田町嘉納の住宅地にある会社員、川口貴士さん(35)方の住宅を炎上させた。事故当時、この住宅には長女(11)が、隣接する両親宅には母親(69)がいた。川口さんは朝日新聞の取材に、「娘が無事で本当によかった。母がそばにいてくれてよかった」と語った。

 ヘリの墜落で、長女と母親はそれぞれ屋外へ飛び出した。職場にいた川口さんは「大変な事になっている」と母親から電話を受け、「慌てて帰ってきた」。長女は軽傷で病院から戻ったが、ショックで口数が少なく、当時のことはほとんど覚えていない、と話しているという。約2時間後に自衛隊の関係者が謝りに来たが、「許せないですよね」。

 川口さんの親戚の小部英(ひでる)さん(65)は、近くのコンビニ付近を車で走っていた時にヘリを目撃した。「近くを飛んでいたヘリのローター(回転翼)が止まり、頭から真っ逆さまに落ち、黒煙が激しく上がった」

 現場から約800メートル離れた田んぼで農作業中に墜落の一部始終を見た男性(67)は「すごく怖かった」と興奮した口調で話した。

 上空でバーンという大きな爆発音がして、空中でヘリの機体から部品が飛び散ったように見えた。「最初、真っ黒な煙がぶわーっと広がり、次に真っ赤な炎が上がった。その後白い煙があがった」という。

 沖縄で米軍ヘリの事故が続いていることを思い出した。「実際に近くでこんな事故が起こるとは。これまでも孫や子どもと『暗くなったら飛ぶのはやめて欲しいね』と話していた。本当に怖かった」と繰り返した。

 現場から約200メートル離れた所に住む農業古賀悦男さん(68)は、家の中でドーンという音を聞いた。「落雷よりひどい、これまでに聞いたことがないような音だった。外に出ると、南の方から黒い煙があがっていた。すぐ車に乗って行ってみたが、警察に『爆発するから危ない』と言われ戻ってきた」と話した。