「内閣人事局に批判強まる=「官僚の忖度助長」―森友文書改ざん問題」

以下、時事通信(3/23(金) 7:06配信 )より。

 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する財務省の決裁文書改ざんで、内閣人事局の弊害が指摘されている。

 省庁幹部の人事権を首相官邸に集中させている人事局の存在が、官邸に対し必要以上に忖度(そんたく)する空気をまん延させているとの批判だ。

 菅義偉官房長官20日の記者会見で、幹部人事を一元管理する人事局について「縦割り行政の弊害を排除し、内閣の重要政策に応じた戦略的な人事配置を実現することを目的に導入された。今後とも適切な運用に努めたい」と述べ、改ざんと人事局を結び付ける質問に反論した。

 人事局は第2次安倍内閣時の2014年5月、内閣官房に発足した。かつて各省庁の判断に委ねられていた審議官級以上の幹部職員約600人について、官房長官の下で人事局が幹部候補名簿を作成。首相と官房長官を交えた「任免協議」で最終決定する仕組みとなった。

 人事面の官邸主導が強化された結果、時の政権が唱える政策が進めやすくなる一方、官僚が過度に官邸の顔色をうかがう傾向も強まった。経済官庁の幹部は「かつて出世は国家百年の大計を競うレースだったが、官房長官への奉仕を競うレースに変容してしまった」と嘆く。

 改ざんだけでなく、学校法人「加計学園」の獣医学部新設の背景にも忖度があったと見る向きは多い。文部科学省が政権批判をした前川喜平事務次官の授業内容を名古屋市教育委員会に問い合わせたのも、政権への過度な配慮とみられている。自民党内では「官僚は閣僚ではなく官邸を見ている」(石破茂元幹事長)と人事局を問題視する声が出始めた。

 民進党大塚耕平代表は「官僚が政権におもねる雰囲気が醸成されてしまった。人事局の見直しが必要になってくる」と制度見直しを主張した。ただ、前身の民主党政権も人事局設置を目指した法案を国会に提出している。

 官僚トップの官房副長官を長年務めた石原信雄氏は「官邸主導が強くなり過ぎ、官僚が萎縮しているのではないかと心配している。首相官邸には官僚が意見を言えるような対応をしてもらいたい」と、「政と官」の在り方が問われているとの見方を示す。