以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月1日11時35分)から。
関東大震災から95年を迎えた1日、東京都墨田区の横網町公園で、震災時に虐殺された朝鮮人の犠牲者を追悼する式典が開かれた。小池百合子都知事は昨年に続き、歴代都知事が寄せてきた式典への追悼文を送らなかった。市民団体の日朝協会などでつくる式典の実行委員会は「過去の歴史から学ぼうとする姿勢がみられない」と抗議している。
式典は、1923年の関東大震災で「暴動を起こした」といったデマが広がり、住民らに虐殺された朝鮮人らを追悼するために開催。追悼碑の前に約700人(主催者発表)が集まり、悲惨な事件に思いをはせた。
同じ公園内にある都慰霊堂ではこの日、震災の犠牲者を悼む大法要も開かれた。秋篠宮ご夫妻や遺族ら約600人(主催の都慰霊協会発表)が参列。例年と同じく副知事も出席し、「犠牲となった方々のご無念と遺族の深い悲しみに思いをいたすと、悲痛の念に堪えません」という小池知事の追悼文を代読した。朝鮮人らの虐殺事件に具体的に触れた言葉はなかった。
都知事は毎年、どちらの式にも追悼文を寄せてきた。小池氏は朝鮮人犠牲者の追悼式典に送らない理由について「大法要で、犠牲となったすべての方々への哀悼の意を表している。個別の形での追悼文の送付は控える」と説明している。