「政治ネタ、発信続ける理由 ウーマンラッシュアワーの村本大輔」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月22日16時30分)から。

 昨年末、フジテレビ系のお笑い番組THE MANZAI」で沖縄の米軍基地問題のネタを披露し、物議を醸したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔(37)は、その後もツイッターで沖縄についての発言を続けている。30日に沖縄県知事選を控え、ネットでは激しい言葉が飛び交い、村本にも「炎上芸人」と批判が絶えない。それでも発言を続ける理由とは。

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 沖縄に興味を持ったきっかけは情報番組です。僕の地元は福井県おおい町原子力発電所があります。地元の宿や食堂は、原発のおかげで客が来るのも現実。それを番組で「降りられないルームランナー」と表現したら、返ってきたのは「原発がないと飯食えないのは、そっち(福井)の責任だろ」と、他人ごとみたいなコメントばかりでした。

 都会の人は、その原発のおかげで電気を使えるのに。「沖縄の人も同じなんだろうな」と気になり、いろんな人に話を聞き始めた。知るようになると、それまで通り過ぎるだけだったニュースに色がつき始めた感じです。

 8月にライブで沖縄を訪れた際には、普天間飛行場辺野古移設に反対する県民大会と、地元紙を批判する側の集会の両方に話を聞きに行きました。県民大会で話した若い女性は「学校で辺野古のことしゃべったら、『お前もそういうやつか』って見られる」って。自分のことのはずなのに、沖縄でも、政治のことしゃべるやつはおかしい、みたいな状況がある。

 「THE MANZAI」もかなりハレーションがあったけど、あれくらいでざわつくのか、と思いました。もっと当たり前になればと思う。

 そういう僕も実を言うと、沖縄で空き時間に辺野古に行こうと思ってたんですけど、途中に前から行きたかったパンケーキ屋があって。そこに寄ったら時間的に辺野古行きは無理、っていう状況で迷ったあげく、パンケーキ屋に行ってしまいました。そういう面ってありますよね、人間だから。

 でも、パンケーキのインスタグラムを撮るのに時間費やしてる人も、誰かが闘った歴史があるおかげで、24時間好きなもの食べて過ごせる、ってことを少し考えるようになると、何か変わるんじゃないかな。

 エンタメとしてなら、たくさんの人に広がることもある。正論は暴力になってしまうこともあるけど、ライブでクスッと笑ってもらって、頭の片隅に何かがひっかかって、帰り道にそれが増殖していく、みたいなのがやりたい。

 僕自身は、自分で見て、考えることを大切にしてます。メディアや有名人の意見をうのみにするのって、ブランドものの服を着て「これなら安心」と思ってるみたい。でも、自分で考えていくと、いろんな答えがあることに気づく。解答欄には、「先生方」の答えをそのまま書くんじゃなくて、自分で苦しんで出した答えを書きたい。苦しいけど、面白いですよ。

 (聞き手・仲村和代)