井上ひさし作 長塚圭史演出「イーハトーボの劇列車」を観てきた。
花巻が生んだ宮澤賢治。彼自身が何度も上京したように、地域がもつ文化の高低差については、かなり意識していたことだろう。それでも、それぞれの地域が平等に、そして中心にならなければならないという思想に至った賢治。ザメンホフのエスペラントに共鳴し実践した賢治。父親との確執。恵まれた家庭に育ちながら、経済格差に心を痛めていた賢治。肉食についても考え抜いた賢治。ひとことでいえば、ユートピア思想。
宮澤賢治の思想に、現在という時代がまだ追いついていないように感じてならなかった。
「イーハトーボの劇列車」は以前にも観たことがあるが、今回は演出が違っていた。演出家と俳優陣のまとまりについてはまだ伸びしろがあるように感じた。