以下、朝日新聞デジタル版(2021/3/24 18:28)から。
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次いで発覚した問題で、原子力規制委員会は24日、東電が原子炉等規制法に違反したとして是正措置命令を出すことを決めた。東電が核物質防護の姿勢を自主的に改善できる状態になったと規制委が判断するまで、原子炉に核燃料を入れることなどを禁じる方針。命令が解除されるまで再稼働は事実上できない。
規制委は、書面などで東電の弁明を聞いた上で命令を出す。命令は1年以上続く見通し。規制委によると、同様の是正措置命令は、大量の機器の点検不備を受けて日本原子力研究開発機構に高速増殖原型炉もんじゅ(廃炉)の使用停止を命じた2013年5月に続いて2例目。
更田豊志委員長は24日の定例会で、東電の核物質防護の姿勢が「十全なものか確認しきれていない」と指摘。テロに狙われる可能性がある核燃料の移動を禁止する命令を提案し、ほかの委員4人から同意を得た。記者会見で「核物質防護をきちんとやるために、さらなる強化策を加える。規制委の発足以来、最も大きな判断だ」と語った。
柏崎刈羽では昨年3月以降、15カ所で不正侵入を検知する設備が故障し、うち10カ所で30日以上検知できない状態が継続。規制委は今月、安全確保への影響が4段階で最悪の「赤」と評価した。昨年9月に社員が他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室したことも発覚していた。
(後略)
(桑原紀彦、小坪遊)