「古代、アメリカは日本だった」(徳間書店)という本を買った。
むかしベーリング海峡が氷河時代に数回(7回)つながっていたという話は聞いたことがある。猿谷要さんや本多勝一さんの旅行記を参考にして、電子メールでつながったアメリカ合州国の教師たちに会うことを口実にしアメリカ大西部をレンタカーで回ったことがあるが、そのときネイティブアメリカンの文化も学んだ。その時に感じたのは、ベーリング海峡がつながっていた頃にアジアからアメリカ大陸に移動したとすれば、ネイティブアメリカンたちは我々と血縁関係がある可能性があるのではないかということだ。
本書では、たとえば、アメリカ合州国50州のうち、24州がネイティブアメリカンの言葉に由来し、それらが日本語と関連しているのではないかという。
先史時代のいずれかの時期にモンゴロイドがアメリカ大陸に渡っていたとすれば、日本語と同じ語幹がネイティブアメリカンズの言葉に影響を与えていたとしても不思議ではない。
英語を学んでアメリカ合州国の地理を知れば、アメリカ合州国の州名で、英語的な名前と共通性のない州名があることはすぐに気づくことだ。言うまでもなく、ネイティブアメリカンズの地名から英語化した名前のものが少なくない。こうしたそもそもネイティブアメリカンから由来する名前は、Michigan, Minnesota, Kansas, Arizona, Ohio, Colorado など、子音に母音がついて発音される調べは日本語的な音韻の感じさえする名前が少なくない。
また「まったく同じ日本とメキシコのワラジ」という小見出しのところに、以下のようにある。
数世紀にわたって、多くの日本の子供たちは田畑での作業として草鞋を編むことを教えられてきた。草鞋は彼らが手軽に水田や雨天でも作業できるように草や稲藁でつくられている。このワラジの音は、メキシコのサンダルであるワラジ(ワラチズともいう)と同じである。しかも本来的に同音同意というばかりでなく、メキシコ・インディアンのサンダルは素材を除きまったく日本の者と同じなのだ。メキシコを訪れる日本の旅行者たちは、まずメキシコ・インディアンと日本人との共通性に仰天する。(p.202)
これは、先に大西部を自動車で周遊した経験を紹介したが、ニューメキシコ・ユタ・アリゾナ・コロラドの四州をまたぐことのできるフォーコーナーズ近く、メサべエルでのクリフパレス付近の博物館で、ユッカで編まれた草鞋の展示を見たときの驚きを思い出した。裸体に近いいでたちなのに、足だけは、ちゃんとフットギアをつくって暮らしていたのだ。展示されている実物がワラジそのものであり、さらに名前も「ワラジ」と表示されていた。おそらく、高地に住み足元が岩でごつごつしていたから足を守る必要もあったのかもしれない。人々はカゴも編んでいたから、 basketmakers といい、アナサジ(Anasazi)文化圏に属していたと記憶している。
ということで、本書は、荒唐無稽な本という印象は免れないが、あながち、一笑に付すわけにはいかない内容がありそうだ。