このシーバスは多少荒れた海をかなりのスピードで走るものだから、文字通り波間を飛ぶときもあり、着地するときの衝撃がものすごい。エンジンの音と、船の着水の音という、二種類の音がけたたましい。
シーバスは、あちこちの砂浜に寄っては、客を積み込んでいく。10代の女の子たちの5、6人のグループは、自分たちから海に入ってきて、積極的にシーバスに乗り込もうとしない。こうした女の子はどこにでもいるものだと私は思ったが、それでも船長は辛抱強く、梯子を海岸に伸ばして、なるべく足が濡れないように気をつかっている。こうして、いい面構えをしたこのがっちりと体格のいい男性は、どこまでも優しいのであった。それでも、あまり海岸に近づき過ぎると、スクリューが砂浜にぶつかって危なさそうだ。