野鳥観察しながらの朝の散歩

ラミントン国立公園の空

 オライリーの二日目のアクティビティは、6時45分からのBird Walk。これは野鳥観察をしながらの散歩である。オライリーの朝は高原の涼しさをもう少し寒くした感じで肌寒い。ガイド役は、昨夜同様、ティム=ライリー氏だった。参加者は15名ほど。
 まず、オライリーゲストハウスの玄関前の柵に、小鳥を呼ぶ。用意された3つの袋の中には、餌としての肉類や穀物類などが入っている。鳥の中には肉食のものがいるようで、ひき肉状のものを丸めて空中に投げてやると、野鳥が3羽ほど飛んできた。野鳥の中にも性格的に大胆な奴もいれば、小心な奴もいるらしいが、七面鳥もたくさん寄ってきて、おこぼれにあずかろうとする。ティム=オライリー氏は、参加者に円陣を組ませ、その中に七面鳥を入れさせないように指示する。残念ながら「七面鳥観察」(Turky watching)ではないので、七面鳥にお呼びはないということだ。それでも、おこぼれにあずかろうとする七面鳥に対してオライリー氏は、しっ、しっと、追い払った。ひき肉のミンチを作りながら空に投げてやると、小鳥はそれをダイビングキャッチした!ティム=オライリー氏は、暖かい紅茶を飲んではそのカップを地面に置きながら、小石をひろって「鳥は眼がよくてね」と説明し、例のひき肉を鳥の眼の前で丸めながら、投げる動作を鳥の目の前でおこなう。「例えば、ひき肉を丸めたものと同じ大きさのこの小石をを投げるでしょ」と言って、ミンチとすりかえて小石を空中に投げると、鳥は一瞬飛び立つが、あとは見向きもしない!ティム=オライリー氏は「鳥は眼がよくて、だまされないんだよねぇ」と解説する。
 このティム=オライリー氏も鳥に負けないほど、かなり眼がいい。歩きながら、木々を見上げては、あそこに何がいる、ここに何がいると説明していく。参加者には双眼鏡を持参している人もいるので、「ほんと、ほんと」と感動しながら見ている人と、「あんた、ほんとに眼がいいわねぇ」と他人の観察能力に感心している人もいる。野鳥観察というと、日本では、日本野鳥の会のような団体を思い出すが、イギリスが元祖なのだろう。プロフェッショナルな感じがするが、ここオライリーの参加者は、どこにでもいるようなごく普通の人たちである。鳥の姿は見えねど、鳥の声を聞いて、あれは何、これは何と説明しながら、歩いていく。
 私のレポートに具体的な鳥の名前が出てこないと思っている方は正解である。前に聞いたことがある鳥の名前は記憶にとどまるのだが、今までに聞いたこともない奴は全然ダメ!あまりにむずかしい鳥の名前が多いのだ。早朝のレインフォレストで野鳥と一緒にいられる幸福感をかみしめて、名前を覚えるのは止めにした。それでも、可愛らしいYellow Robinは忘れることはできない。日本語なら駒鳥だろうか。
 それから泣き声だが、この辺はあやふあやだが、Whipbirdという奴が、変な泣き声で、チョン!チョンと鳴いている。カタカナではうまく表現できないが、スパッと切るようなキョンキョンと言った方がよいかもしれない。ともかく、そう泣く奴がいて、こういう奴は、英語圏の方々は難なく覚えて、みなさん、「おあ、あれね」という感じで確認している。さらには、"Did you walk?""Did you walk?"(「歩けた?」「歩けた?」}と泣く奴がいたり、"Walk, walk, walk!"(「歩け」「歩け」「歩け」」と泣く奴がいたり、さらには"Walk to work, walk to work"(「仕事に歩いていけ」)と泣く奴もいたりして、レインフォレストの野鳥観察は名前を覚えられなくても全く飽きないのであった。オライリーの野鳥観察は楽しいの一言なのである。