トゥールナ川周回散策に参加する

 朝食を済ませて、9時から、18キロ、6時間のコースであるトゥールナ川周回散策(Toolona Creek Circuit)というのに参加してみたいと思った。ブーメランのアクティビティや4WDのツアーもあるが、ランチを食べてからの後半は滝がたくさん見えるというので、私はこのアクティビティを選びたかった。予約に行くと、このアクティビティはランチを作らないといけないので、昨晩からの予約になっているという。なんとかなりませんかと言うと、それじゃ、なんとかしてあげようと、昨日のWishing Treeのツアーガイドの方が言ってくれた。バックパックはどうする、水はどうする、お弁当はベジタリアン用のものがいいか、何がダメかと、請求書のようなノートパッドに細かく書いてくれて、9時10分前に集合してくれればいいということにしてくれた。
 部屋に戻って仕度をしていると、部屋の掃除に若い女性が来てくれた。今でも掃除をしてよろしいかというので、構いませんよというと、昨日バスで一緒の赤毛若い女性であった。いろいろなアクティビティに参加してとても楽しいというと、それは良かったですねと明るい返事が返ってきた。「昨日は、土ボタルも見ました」と言うと、自分はまだ見たことがないと彼女は言った。
 軽トレッキングシューズにはきかえて、朝方ちょっと寒かったので、上着を重ね着して玄関前に集合する。昨日のWishing Treeツアーに一緒に参加した男性が、今日はどのツアーに参加するのかと聞くので、Toolona Creek Circuitだと言うと、「そいつはいい。前に参加したことがある」という。「歩きは大変でしたか」と聞くと、昨日のWishing Treeツアーのような歩きだから大丈夫だと言う。そんなことを話しているうちに、ガイドが現れた。ガイド役の人は、とても優しそうな人だ。参加しない人たちが、「あなたたちは本当に18キロも歩くの」なんて言っている。参加者中のカップルは、「18キロなんて、そんなに大したことないよな」と互いに励ましあっているものもいる。バックパックは持ちましたかと、さりげなくチェックしているガイドの彼が、「それじゃあ、そろそろ出発しましょうか」と静かに声をかけて、一同出発となった。参加者は、10人ほど。ガイド一人に、3組のカップル。そのうちの一人はアジア系の奥さんのようだ。あとは、日本人らしい女性二人と私。バックパックを持っていない女性もいる。お手軽ハイキングだろうから、作ってもらった弁当は誰かが持っていってくれたりするんだろうか。弁当のことを日本人女性二人組に聞いてみると、「ベンチのところに置いてありましたよ」という返事。「えっ、ちょっと待って、待って、弁当を忘れたから」と出発したばかりの一団とガイド役に慌てて声をかけて、急いでレセプションに戻る。すでに別のアクティビティに参加する一団が玄関前に集合していて、どうしたんだいと笑っている。「大事なものを忘れちゃってね」と少し恥ずかしい思いをしながら私は受付に戻った。
 見ると、レセプション前のベンチの上にお弁当が置いてある。結構大きな弁当箱で二段弁当なのか、二つもある。りんごや甘いお菓子もあるし、ペットボトルの水も二つもある。自分のナップサックにぎゅうぎゅうになんとか詰め込もうとするが、なかなか入らない。ナップサックに二つのペットボトルをすでに装備していた私は、ペットボトルの二つの水は丁寧にレセプションに返却して、戻る。
 一団に戻ろうと、急いで追いつこうとしたので、慌てて道の入り口を間違えてしまった。別のアクティビティの一団が、慌てないでそっちじゃないよという顔つきをしている。またまた恥ずかしい思いをしながら、一団に追いついて、ようやく出発となった。
 熱帯雨林の中を、ガイドが説明しながら、歩いていく。歩くペースは結構早い。オライリーゲストハウスから西南の方角に進んでいく。オライリーゲストハウスに水を引いている黒いパイプがあり、それが延々とつながっている。熱帯雨林の中でも快適にシャワーを浴びることができたのは、この水のおかげと感謝した。前のイギリス人の旦那がクモを指して、説明してくれる。彼は生物の先生なのかもしれない。
 かなり歩いて、1190メートルの高さのトゥルーナ山(Mt.Toolona)に近づく。ここからの眺めはなかなかすごい。ワヌングラ山(Mt.Wanungra)から下がったところで昼食になりそうだ。
 昼食は、小川のせせらぎを聞きながらの食事となった。バックパックに詰められた弁当箱がやはり二つあることに気がついた私は、一つ余計に持ってきてしまったのだが弁当を持って来なかった人はいないかとガイドに相談した。ガイド役も非常用に一つ余計に持ってきているようで、みんな自分のものを持っているようなので、問題なかろうということになった。
 Toolona Creek Circitとは周遊ルートであるが、後半のルートは、滝をたくさん見ながら、帰ってこれると聞いていた。山の頂上が水源になっているのだろう、Toolona Creekとなって、徐々に水嵩が増している。10ほどの滝があったろうか、最後はElabana Fallsを見てゲストハウスに戻ることになる。このルートは、6時間も歩いているのに、いわゆるトイレがないためトイレ休憩もない。長時間歩いているため発汗しているせいか、私自身全く生理的な欲求もないのだが、一団の中で、問題は起こらなかった。万一必要になっても、なんとか自然に用を足すことにしているのだろう。
 日本人女性二人組は北海道から来たという。これまで、海外旅行では、アイスランドやアフリカのケニアなど、遠いところに行くことが多かったという。なかなか行動的な人たちで、背の高さから大きな木を越えるのには難がありそうだったが、背をかがめて穴に入るのは得意そうだった。今回のラミントンへの旅は、予約をホームページでおこない、ゴールドコーストから入り、ラミントンに三日間滞在するように組んだという。それで、大正解だったねと二人で確認し合っている。私も次回ブリズベンに来るとすれば、ブリズベン空港から来るにせよ、ゴールドコーストから入るにせよ、直接ラミントンに来てラミントンでの滞在時間を長くするだろう。ただし、ここも一人で来るところではない。パートナーや家族で来た方が楽しいと思う。18キロ、6時間にわたる結構長いウォーキングだったが、充実したウォーキングだった。