山の中での食事はおいしいけれど、一人旅はいろいろと言い訳をしないといけない

 部屋に戻って、ベランダから遠く青く透き通った山々を見た後で、シャワーを浴びる。オライリーゲストハウスの夕食は6時からになる。レインフォレストルームというバーは、夕方5時から6時30分までカクテルハッピーアワーというのもあるけれど、今日はパスしておこう。
 夕食のテーブルを受付でお願いする。こういうとき大体向こうの人達はカップルかファミリーだから、「二人用のテーブルをお願いします」("A table for two, please!")と言いたいところだが、悲しいかな、私の場合は、「一人用のテーブル」("A table for one")になる。だから、私は、「女房を連れてこればよかったなぁ!」とか、「今度来るときは、必ず、女房を連れてくるゾ!」とか、「いやぁ、実は、女房と娘を連れてきたんだけどね、仕事でさぁ、五日間で日本に帰らないといけなかったんだよ。いやぁ、実は彼女は仕事が好きでね」とか、いろいろ下らないことを説明しながら言い訳を喋らないといけない。少なくともこちらのルールに合わせようとするならば、私はそうすべきと思っている。
 テーブルに座って、ワインリストをじっくり読んで、それから本日のメインを考える。ここのレストランは、他にカフェテリアのように、サラダや軽い一品料理が頼めるので、メインを注文しても、カフェテリアから自分で好きに選んで持ってきても、なんでも大丈夫になっている。デザートも、自分で選んで、もってくる方式になっている。いろいろと選択肢があるので、オライリーでの食事は楽しい。
 飲み物だけは別料金なのだが、シャルドネの白ワインを頼んで、今夜のメインはターキーを注文する。おいしいデザートを食べて、食事を早々すませて資料室に行くと、本棚にたくさんの本があり、暖炉が赤々と燃えている。そこに大きなスクラップブックが何冊か置いてあって、開拓の歴史とともに、オライリーゲストハウスを有名にした例の1937年の大救出作戦の様子などの資料保存がされている。