休みの前に長丁場の試験がある

 今週の木曜日に、マオリ語の試験があるので、その準備をしないといけない。今日の授業で、おさらいをしたのだが、試験範囲はこれまでやった全部である。なんでも講師へミの話だと、試験は1時間半以上もの長丁場らしい。
 試験の内容は、例えば、以下のものをマオリ語に訳して書きなさいというもの。
 「メレはワイカト出身です」「あなたはおいくつですか?」「18歳です」「あなた方(三人)はどこに行くのですか?」「彼らはロトルアに行くところです」「彼女の家はタウランガにあります」「その犬は肉を食べている」「ヘニはそのボールを取ってきているところです」「私はその車を洗っています」「8人います」「私には3人の年長の兄弟がいます」「彼の名前はタマハエです」「その車は家の前にあります」。
 もちろんと威張って言うことではないけど、ノートを見ないで私ができたのは、「メレはワイカト出身です」「彼女の家はタウランガにあります」「彼の名前はタマハエです」」くらいのもの。あとは、それぞれ1/3くらいしか書けない。少し驚いたことに、マオリの学友たちも、それぞれ文法的な弱点があって完全には書けない学生が少なくない。
 さらに、構文問題で、文頭のマオリ語だけ少しヒントとして出ていて、あとに続けて完成させる一文ずつの自由作文。
 これはリスニングの問題になるが、家系図をもとに説明があり、その家系図を書き上げるという問題。マオリ語の名前が私には不慣れなので、これは全くといっていいほどお手あげだった。他の学友たちは全く問題なくできたようだ。この辺が文化的な差が顕著に出てしまう。
 10語ほどのマオリ語の単語のディクテーション*1。これは前にチュートリアルで練習したような感じで出題されるという。マオリ語では、マクロンという長母音について、うるさいので、マクロンにも注意しろということだった。
 次もリスニングの問題で、五つほど絵が出てきて、それぞれ三つ文が読まれ、一番近い説明のものを選ぶという選択肢問題。
 さらに、マオリ語の質問に対して、マオリ語で答える問題。
 また、5〜6語のマオリ語が与えられていて、それを使って5つほどのセンテンスを書く自由作文問題。
 マオリ語の会話文が示され、その会話文の空所を埋める問題、などなど。
 全部で100点満点だそうだ。

 ちょっと待ってくれよ、ヘミ、これってやりすぎじゃないの。
 マオリの学友たちやハワイ出身のアリスなんかと比べても、こうしたテストなら、おそらく私が最低点であろう。差があまり開き過ぎないように、家に帰って復習するしかない。
 それにしても、マオリの学友たちも、それぞれ文法的な弱点を抱えて、完璧ではないことはちょっと驚きだ。例えがよくないけれど、日本語は完璧だけれども、英語を外国語として学んでいる我々と近いところがある。たいへん悲しいことにと私はあえて言うが、彼らにとって、そもそもは母語であるはずのマオリ語が外国語学習的になっているのである。前にもこれは書いたけど、私の力になってくれるホアニも、いつもマオリ語の絵本のような語彙集をもっている。これなど、日本でいえば、小学生用に英語単語が図解で示されている絵本のようなレベルだった。
 日本人にとって日本語の視点から見た英語と、マオリにとってイギリス語から見たマオリ語とは、もちろん違う。マオリマオリ語の方が、なんというのか、抽象度が低いだろう。それにしても、本来母語であるはずのマオリ語を、多少なりとも外国語のように彼らが扱っていることに間違いはない。だからこそ、このクラスにいるわけなのだが。
 先に紹介したような試験に対して全く準備もせずに望んだら、完敗だろう。授業が終わると、さっそくホアニが明日、試験対策のために、会おうと言ってくれた。私の顔を見て、心配になり、同情してくれたのだろう。
 持つべきものはやはり友だ。

*1:ディクテーションとは、聞いた内容を書き取ること。外国語学習の練習方法として有効な練習方法のひとつ。