ワカ・アマ・レガッタを二回見物する

スタートラインに向かうレガッタ

 今テレビでは、メルボルンで開催されているテニス大会で盛り上がっていて、アレックスもジュディも、このオーストラリアオープンに夢中だったが、ハミルトンの隣町であるケンブリッジから少し行ったカラピロ湖(Lake Karapiro)では、「ワカ・アマ・レガッタ」(The National Waka Ama Championships)で、マオリを中心に盛り上がっている。
 この大会は、14年ほど前から復活し、毎年開催されているとの話だが、ニュージーランド全国からも参加者が集まっているし、サモアやトンガ、ハワイなどからの参加者もあるようで、毎年海外からの参加者も増えつつあり、国際化してきているという。7歳から70際までの約2000人の競技参加者と連日3000人ほどの観客だと報道されていた。このレガッタ大会が、月曜日から明日の土曜日まで、連日繰り広げられるというので、たまたま見物にしに出かけることとなった。
 マオリはカヌーでアオテアロアに渡ってきたくらいだから、そもそもカヌーが基本的交通手段であったわけだし、それがスポーツ化されたということだから、その点では、スポーツ化の過程が北欧の山スキーに似ているかもしれない。復活というのは、おそらくマオリ文化の復興運動に関連してのことだろう*1
 レガッタを漕ぐ人のことを漕手(paddlers)というが、この漕手はアウトリガーのついたレガッタ一艇に6人乗る。
 全体としては、8艇から9艇の競争が多く、早めの艇が真ん中に集まるのは水泳と同様のようだ。湖の左右の両側に旗が立ち、その両方の旗の間を、試合の距離にもよるけれど、往復するレースが多い。レースは、年齢や性別によって、いろいろと分かれている。
 その6人の漕手の配置だが、先頭と二番手は、体重が軽く、しかも初動のパワーのある漕手が担当し、三番手と四番手は、いわばエンジン、動力の働きを担う体格のがっちりした漕手が担当し、五番手、六番手は、舵取りで、いわば統括者的な役割を負う漕手が担当するという。
http://www.wakaama.co.nz/news/story.php?story_id=284
 今までこの日記で紹介したことがないけれど、マオリ土地戦争のフィールドワークでナルワヒア(Ngāruawāhia)を訪れた際に、タミハナ(仮名)とニコル(仮名)という、ナルワヒアでたまたま知りあったマオリ夫婦のお宅にお邪魔したことがあって、そこの娘さんたちがレガッタに乗っていた。
 タミハナのガレージには、レガッタの用具が所狭しと並んでいて、日本でいえば、子どもに野球やサッカーをさせているようなものなのだろう。マオリの子どもたちの間で、レガッタは盛んのようだった。ナルワヒアの眼の前のワイカト川で遊ぶけれど、本格的な練習は、車で移動して練習させているとも言っていた。
 数年前に娘と行ったハワイ島のケアホウのホテルで、夕暮れ時に、アウトリガーカヌーを波間に滑らせている美しい練習風景を見かけたことがあるけれど、ハワイの漕手たちも、この大会に参加しているかもしれない。ポリネシアン文化の中で、やはりレガッタのもつ意味は大きいようだ。
 実は今週、このレガッタの大会に、二日前と今日と、二回も私は出かけることになった。

*1:あるマオリは、伝統復活のために、ハワイからかなり学んだと言っていた。マオリのカヌーよりも、ハワイのアウトリガーカヌーの方が小型だとも言っていた。