テパパのライブラリアンたちと話をする

 このテパパの白人のライブラリアンと話をしてみた。
 主にマオリ語の歴史に関する自分の興味を私がいろいろと話すと、まず訪れるべきは、マオリ語の発展に寄与するための委員会(Language Commission)ということで、このウェブサイトを紹介してもらう。無料でプリントアウトまでしてくれた。
 彼女と気が合ったと思った私は、ウエリントンのビクトリア大学で娘がこの2月から1年間お世話になるということや、ウエリントンのバックパッカーズモーテルの宿泊代が高いことなど、いろいろなことを彼女に話すと、「ロウワーハットのホリデイパークなら、パエカカリキのホリデイパークの方がビーチに近くていいわよ」と、教えてくれた。
 私との話から「日本人はユーモアを解さないと思っていたが、そうでもないわね」と彼女が言うので、「ユーモアはあるんだけど、あなたたちとは違うユーモアなんだよね。それに我々には英語は基本的に必要ないので、英語がわからないからね」と私が説明すると、それはそうねと、彼女は頷いてくれた。英語がこれだけ世界に広まってしまったおかげで、英語の母語話者は怠け者になり、その分損もしてもいるのだという私の意見に彼女は同意見のようだった。
 受付をしているライブラリアンの彼女のところには、問い合わせをしに来る人が少なくない。
 そうした問い合わせを優先してもらいながら、つまり彼女の仕事を邪魔しないようにしながら、私は受付の彼女の横に座って、いろいろと話をした。こうして、マオリのライブラリアンを白人の彼女から紹介してもらったのだ。
 マオリのライブラリアンのデスクに移動し、少し時間をもらって、私はこのマオリの女性ライブラリアンに自分の問題意識を話し、彼女の話を聞いた。
 マオリ語は公用語にはなったものの、テパパのような仕事場ですら、職場ではやはり英語が中心だということ。彼女の両親も、とくに彼女の母親はマオリ語よりも英語の方が主であったこと。けれども彼女の祖父母の世代は、マオリ語が主であったことなど、話は長時間に及んだが、マオリの彼女も、私との時間を楽しんでくれたようだ。
 ジュピターが言っていたパーマストンノースでおこなわれるハカのイベントの話になった際に、「それは是非行った方がいいわよ。ネットワークも広がるから」と、インターネットのサイトにアクセスしてくれて、そのページのプリントアウトしてくれた。
 こうして彼女にもかなり気に入ってもらったようで、彼女から名刺ももらって、さらにナショナルライブラリーの図書館員の紹介を受けた。
 受付の方に戻ると、「ね、面白い人でしょう」と、先ほどの白人の受付のライブラリアンがこのマオリ女性に言ってくれたのだが、私自身は自分がそれほど面白い人間だとは思っていないのだが、またテパパに来れば歓迎してもらえることがわかったことは、私にとって収穫だった。
 こうしてテパパが大いに気に入った私は、帰りに透明の寄付金箱に5ドル紙幣を寄付したのだった。