マオリの挨拶交換会で私がとった戦術

 授業を見学していると、フランス系のマオリの男性の先生が、私に挨拶をし始めた。マオリの正式の挨拶だ。
 もちろん、彼の話を全部はわからない。
 だが、すでに尻込みはできない。
 この流れからすると、私もスピーチをしないといけない破目になりそうだ。マオリの子どもたちも、座っている私の方をじっと見ている。スピーチをして下さいねという私への事前の相談はもちろんない。
 少なくとも私も堂々とスピーチをしないといけないと、腹を決めた。
 私が挨拶をする順番だと促されたので、次の戦術というと大袈裟だが、アピールの仕方を私は取ることにした。
 まず簡単なマオリ語による挨拶、氏名の紹介と同時に、「ご機嫌いかがですか」「現在は、キリキリロアに住んでいます」などと、子供たちのコトバで私は彼ら彼女らに話しかけ、それから日本語で挨拶をし、それから英語に切りかえて、多くを英語で話した。
 もちろんこれは、子どもたちのコトバである相手のコトバにまず敬意を示し、次に自分のコトバに対する誇りを示すと同時に、私は君たちと違う社会から来た人間であることを明確に示し、それから少しは悲しいことにというべきなのか、英語が共通語であるから、英語で多くの情報を共有化するという戦術を取ったということだ。
 それで話すべき内容だが、私は、マオリの子どもたちに、マオリ社会と日本の社会との違いと共通性の2つを柱にして話すことに決めていた。
 私が話をした内容は、25年間わたしが英語を教えてきた高等学校は、私立の男子校で、1クラス45名もいること。1学年16クラスもあり、全校で2000人も生徒がいること。これだけでもマオリの子どもたちにとって驚異的だ。
 生徒たちは、朝の8時35分に学校に登校し、3時10分まで授業をおこない、その後クラブ活動に勤しむ生徒が多いこと。
 クラブ活動は、アメリカンフットボールから、フェンシング、ラグビー、バレーボール、バスケットボール、サッカー、ハンドボール、重量挙げ、テニス、卓球、体操、野球と何でもあること。
 ラグビーでは、なかなかキーウィに勝てないことも、お世辞的に私はつけ加えた。
 そして興味があるであろうマーシャルアーツ、柔道、空手、剣道など、そしてブラスバンドなど、様々なクラブ活動をしている様子を伝えた。