夜のボートキーを歩くが、一人じゃ面白くない

 クラークキー駅はシンガポール川に面して位置している。ここからは、ボートキー(Boat Quay)、クラークキー(Clarke Quay)というシンガポール川に沿ってレストランがずらりと軒を並べている。
 シンガポール川では、船で移動している観光客も多い。
 川べりのそれぞれのレストランは、客寄せに忙しい。
 川べりにこれだけ客がたくさんいると、味を気にしなくも客は入るのだろう。あるいはこれだけ川沿いに料理店が並んでいると、競争も厳しくて、味もそこそこなのだろう。そんなことはどうでもいい。この雰囲気を味わうには、二人で来ないといけない。
 大体一人で飯を食っている奴なんか、座っている客を見ても、皆無じゃないけれど、ほとんどいない。味のよさそうな店を探して食事をする気はすでにしなくなっていたので、客寄せに対しても、私は冷やかしてばかりいた。