コンビニエンスストアのローソンが一部の店舗で24時間営業をやめる方針を明らかにしたと朝日新聞が伝えている。全店舗の話ではないらしいし、実施は2年後からだというが、24時間営業をやめる理由は加盟店オーナーが高齢化して体力的につらいからだという。これまで働き過ぎの日本人というテーマで何度か書いているけれど、これは実に正しい方向だと思う。
これは長尾藤三さん*1という方のキャッチコピーなのだが、便利地獄、不便極楽というのがあって俺は大いに気に入っている。これをコンビニエンスストアにあてはめてみると、コンビニという消費者側の「便利」の陰には、コンビニを経営している人たちの家族団欒が犠牲になっている、つまり「便利」の陰には常に「地獄」がある。そうした「地獄」の上に成り立っている「便利」さなのである。
忘れもしない。私が初めてニュージーランドのオークランドを訪れた際に、現地の学校訪問をしていたのだが、その仕事らしきものを終えて、さて目抜き通りで買い物でもしようとしたときのことだった。たしか土曜日の午後5時頃だったと思う。これから、おみやげの買い物でもしようかと思った矢先、目抜き通りの店という店が同時にシャッターを閉め始めた。なんだこれはと呆れたその数秒後、俺は考え直した。オークランドのお父さんは実に幸せだ、これから家に帰って、家族みんなで飯を食えるんだと、そう考え直した。これは大分昔の話で、いまのニュージーランドは、一部の大型店舗で24時間営業の方向を向いているものがある。そうしたことが話題になる度俺は24時間営業は間違った方向だとキーウィに言い続けてきたものだ。
日本も、「便利地獄」はそろそろやめにして、「不便極楽」の路線へと変えないといけない。だから、コンビニが24時間営業をやめるというのは、正しい方向転換だと俺は考える。
*1:長尾藤三さんについては、5月22日のブログ「自転車に乗ろう」「豊かさの条件」を参照のこと。