ブルース=スプリングスティーン(Bruce Springsteen)がピート=シーガー(Pete Seeger)の 「勝利を我らに」(“We Shall Overcome: The Seeger Sessions”)をカバーしたセッションアルバムを出して話題になっている。
少し前のIHTの記事で読んだのだが、ブルース=スプリングスティーン自身が、まさか自分がWe Shall Overcomeのカバーを出すとは思わなかったと語っていた。今日のIHTでは、そのアルバムがトップ10に入っていた*1。
さらにニール=ヤング(Neil Young)がイラク戦争・ブッシュ政権批判をテーマとした「戦争とともに生きて」(Living With War)を緊急リリースして、賛否両論、話題になっている*2。
http://www.neilyoung.com/lww/lww_greatdebate.html
CNNのインタビューはこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=7utryGZ25dg
CNNのインタビューでは、意見の違いはあるだろうけれど、言いたいことを言える自由、「言論の自由」についてニールヤングが強調していた。インタビューアーは、アルバム中のLet's Impeach the President(「大統領を弾劾しよう」)という唄を話題にしていた。ニールヤングはカナダ人だが、「自分は、カナダ人であることを誇りに思っている」と切り出して、だけれども、アーティストであるニールヤングは、多くの聴衆を得るためにロサンゼルスにやってきた。それはアーティストであるからであり、たまたまのことだったが、以降40年、音楽をやり続け、アメリカ合州国で税金を払い、アメリカ人の妻とアメリカ人の子どもを持ち、アメリカの家庭を築いている。CNNのニュースキャスターがコメントしていたが、賛否両論分かれる中、ニールヤングの今回の動きが世間の注目を浴びるための宣伝活動とみる見方は明確に違うだろうとコメントしていた。
両方のアルバムともアマゾンで注文したばかりだから、私はまだ聞いていないのだが、これらのアルバムのテーマが反戦であることは間違いのないところだろう。
この前紹介した「反戦平和の手帖 ―あなたしかできない新しいこと (集英社新書)」の冒頭でダグラス=ラミス氏は、「イラク占領に関して、米国はイラクとの戦争に負けている――――もう負けてしまった―――ということがさらに明確になってきた」と喝破されていた。そして、「しかし、米軍の敗北に関するニュースがポタポタと新聞に流れてきても、それは信じにくいことだ。米国が不正な戦争をやっていることを認める人は多くいるかもしれないが、米国が負ける戦争をやっているということを信じられる人は少ないだろう」と述べ、さらに「この希望なき情況に直面し、米国の同盟国は次から次へと脱走している。そして、特に米兵の死者数が二〇〇〇人を超えて以来、アメリカ国内で戦争への支持は低落している。予測どおり、米軍のなかの士気も落ちている」と述べていた。
こうした情勢が、こうした新譜に反映していることは間違いないだろう。
*2:5月4日付のボストングローブにケント州立大学の学生襲撃事件を忘れてはならないという記事があり、そこでNeil Youngの唄「Ohio」が当然にも紹介されるとともに、Neil Youngの新譜「Living With War」について触れられている。