生の英語の資料に飢えていた

Live at Massey Hall 1971

 中学生になって英語を初めて習いはじめてからというもの、ラジオ講座で私は基礎英語を聞いていた。それ以外は英語の世界はもっぱら教室英語だった。authentic(本物の)なものはなかった。authenticなものといえば、ラジオで流れていたBeatlesなどの唄だった。Rolling Stonesの(I Can’t Get No )Satisfactionは、「満足できない、ない」という二重否定(a double negative)で、これが強い否定になることや、ローリングストーンズもエリッククラプトンも、黒人のブルーズから学んでいて二重否定の用法は黒人英語ということも唄から学んだ。
 ということで、authenticなものは唄から学んだ。というか、authenticなものといえば私のまわりには唄しかなかった。
 ときにアメリカ合州国はFolk Song Revivalの時代で、たしか姉に買ってもらった新日本新書の「フォークソング」(三橋一夫)などを読みながらレコードを聴いていて、高校に進学する頃までにはBeatles以外ではPeter, Paul and Maryのレコードなどをよく聴いていた。実際、PPMが来日したとき、渋谷公会堂に出かけたことがあって、彼らの演奏を実際に生で聞いてみたら、それがレコード以上に素晴らしい演奏であったことに驚いたことがある。