中学生になって英語を初めて習いはじめてからというもの、ラジオ講座で私は基礎英語を聞いていた。それ以外は英語の世界はもっぱら教室英語だった。authentic(本物の)なものはなかった。authenticなものといえば、ラジオで流れていた Beatles などの唄だった。Rolling Stones の(I Can’t Get No )Satisfactionは、「満足できない、ない」という二重否定(a double negative)で、これが強い否定になることや、ローリングストーンズもエリッククラプトンも、黒人のブルーズから学んでいて二重否定の用法は黒人英語ということも唄から学んだ。
ということで、authentic なものは唄から学んだ。というか、authentic なものといえば私のまわりには唄しかなかった。
ときにアメリカ合州国は Folk Song Revival の時代で、たしか姉に買ってもらった新日本新書の「フォークソング」(三橋一夫)などを読みながらレコードを聴いていて、高校に進学する頃までには Beatles 以外では Peter, Paul and Mary のレコードなどをよく聴いていた。実際、PPMが来日したとき、渋谷公会堂に出かけたことがあって、彼らの演奏を実際に生で聞いてみたら、それがレコード以上に素晴らしい演奏であったことに驚いたことがある。