映画"Billie"を映画館で観てきた

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"Billie"

 映画"Billie"をミニシアターで観てきた。

 かなり昔にジャズを聴き始め、Billie Holiday の レコードも数枚買い求めた。

 そのビリー・ホリデイ。"Strange Fruit"が1930年代のプロテストソングであることはもちろん知っていた。

 スタンダードになっている"God Bless the Child"は、Keith Jarrette Trioのヴァージョン*1が好きで愛聴していたが、Billie Holiday と Arthur Herzog Jr. による作なのにBillie Holidayの唄は聴いたことがなかった。

 今回の映画で、ビリー・ホリデイの母親から聞いていた教訓からヒントを得た唄だということを初めて知った。

 ビリー・ホリデイの44年間という短い生涯。ひとつの葛藤はジェンダーだろう。男性たちとの人間関係。女性たちとの人間関係。さらに、黒人のジャズバンドとは違って、白人のジャズバンドで歌うときの人種隔離政策(人種差別)との闘い。これは、ジャッキー・ロビンソンメジャーリーグでの闘いを髣髴とさせてくれた。

 もちろん本作ではBillie Holidayのパフォーマンスをいくつか見ることができる。それぞれすばらしいパフォーマンスだが、中でも本作の圧巻はなんといっても"Strange Fruit"である。

 アメリカ合州国KKKクー・クラックス・クラン)や日本の三光作戦など、俺が子どもの頃の少年雑誌でも、いつもではないけれど、たまに、そうした通常のメディアが報道しない話が載っていたことがあった。

 前者はアメリカ合州国の狂信的な白人至上主義団体だが、ビリー・ホリデイは、黒人に対する白人のリンチを唄に仕上げ、歌い上げた。これが有名な"Strange Fruit"である。

 映画"Billie"は、ビリー・ホリデイの闘いの唄としての傑作である"Strange Fruit"を聞くだけでも価値がある。