1971年6月に発売になった高田渡の「ごあいさつ」は、名曲ぞろいの名盤だ*1。
はっぴいえんどがバックをつとめる「失業手当」「自転車にのって」「銭がなけりゃ」「生活の柄」とともに、アコースティックギター一本で弾き語る「ごあいさつ」「アイスクリーム」のようなとぼけた味わいの小作品もたくさん入っている。この路線のものに「値上げ」という面白い唄がある。この詩は有馬敲によるもので、高田渡のものではないのだが、いい加減な日本語の使い方や使い手を皮肉っている。
値上げは ぜんぜん考えぬ
年内 値上げは考えぬ
当分 値上げはありえない
極力 値上げはおさえたい
今のところ
値上げはみおくりたい
すぐに 値上げを認めない
値上げがある
としても今ではない
なるべく値上げはさけたい
値上げせざるを得ないという
声もあるが
値上げするかどうかは
検討中である
値上げもさけられない
かもしれないが
まだまだ時期が早すぎる
で、ご想像のように、最後のクリンチャーは次のようになる。
値上げもやむを得ぬ
値上げにふみきろう