「安倍首相、核兵器禁止条約に言及せず 「原爆の日」式典」

amamu2017-08-06


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年8月6日08時47分)から。

 広島は6日、被爆72年目となる「原爆の日」を迎えた。広島市中区平和記念公園では午前8時から平和記念式典が開かれ、広島市松井一実(かずみ)市長が「平和宣言」を読み上げた。7月に国連で採択された核兵器禁止条約に触れ、日本政府に「核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい」と求めた。一方、続いてあいさつした安倍晋三首相は、条約に言及しなかった。

 冒頭で、この1年間に死亡が確認された被爆者5530人の名を記した名簿が原爆死没者慰霊碑に納められた。死没者の数は、30万8725人となった。慰霊碑への献花に続き、原爆投下時刻の「午前8時15分」に、「平和の鐘」が鳴らされ、参列者が黙禱(もくとう)を捧げた。

 松井市長は平和宣言で改めて核兵器を「絶対悪」と強調。「核兵器の使用は、一発の威力が72年前の数千倍にもなった今、敵対国のみならず自国をも含む全世界の人々を地獄へと突き落とす行為であり、人類として決して許されない行為です」と述べた。

 また、核兵器禁止条約が122カ国の賛同で採択された点を「廃絶に向かう明確な決意が示されました」と評価。「各国政府は『核兵器のない世界』に向けた取り組みをさらに前進させなければなりません」と訴えた。

 日本政府は「核兵器国と非核兵器国の対立をいっそう深め、両者の協力を重視する我が国の立場に合致しない」(岸田文雄・前外相)などとして、核保有国とともに条約交渉をボイコットし、署名もしない方針を明らかにしている。

 この日の式典には各国駐日大使らが参列。核保有国では米、英、仏、ロシアが出席したが、中国は欠席した。

 広島・長崎の被爆者は高齢化が進み、3月末の厚生労働省のまとめによると、平均年齢は81・41歳。被爆者健康手帳を持つ人の数は16万4621人で、1957年度の手帳交付開始以降、過去最少となった。(宮崎園子)