以下、朝日新聞デジタル版(2018年6月10日23時23分)から。
新潟県知事選で注目されたテーマの一つが、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題だった。
柏崎刈羽原発は2012年から全7基が停止している。昨年末、原子力規制委員会が6、7号機の新規制基準の適合性審査を終えた。原発が立地する柏崎市、刈羽村が再稼働容認の立場を示す中、県の姿勢が焦点となっている。
米山隆一前知事は、福島第一原発事故の原因、避難計画の実効性、原発事故が被災者の暮らしや体に与える影響の「三つの検証」を終えるまで、再稼働の判断をしないと明言していた。
自民、公明両党の支持を受けた花角氏だが、前知事の方針を引き継ぎ、2、3年かけて三つの検証を進めると断言。両党も、原発に難色を示す世論が根強い中、原発再稼働の争点化を避ける戦略を取った。
選挙期間中、野党候補が脱原発の姿勢を次第に強めると、花角氏は「検証で安全性が確認されても、県民の納得が得られるまでは(原発を)動かせない」とまで踏み込んだ。ただ、有権者からは「官僚出身の人が政府の意向に反する判断ができるだろうか」という声も聞かれた。
朝日新聞が2、3の両日、知事選の情勢調査とともに実施した県民への世論調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に「賛成」が24%、「反対」が60%だった。花角氏は選挙戦で防災や起業支援なども訴えたが、政府の立場と一線を画し、再稼働の可否に向き合えるか。引き続き、県政の重要なテーマとなる。(高木真也)