以下、朝日新聞デジタル版(2018年6月11日00時24分)から。
(森友、加計学園の問題などの新潟県知事選への影響について)あのことは我々の選挙にプラスになったわけじゃない。本当に邪魔っ気なことであったと思われます。関係の人たちは、大いに反省をしてもらいたい。(与党系候補の勝利で、党総裁選3選を目指す安倍首相に対して)いい風が吹いてきたということを、判断して間違いないと思います。(党本部で記者団に)
新潟知事選の結果がでた。
手計算だが、「当日有権者数」に対する当選した自公が支持する候補者の得票率は、28.6%。
同じく手計算だが、破れた野党5党推薦候補者の「当日有権者数」に対する得票率は、26.7%。
もうひとりの候補者の得票率と無効投票その他を合わせて、得票率の58.25%になるわけだが、ここから指摘できることは何か。
ひとつは、有権者総数の3割に満たない得票で当選者が決まったということである。
投票に行っていない有権者が4割(約41.8%)以上もいる。
その結果、今回の選挙の争点のひとつは原発再稼働問題であると思うのだが、有権者総数の2%に満たない僅差で、勝敗が決まっているという事実である。
朝日新聞が実施した県民への世論調査では、「柏崎刈羽原発の再稼働に「賛成」が24%、「反対」が60%だった」という。この県民の要求は国民の要求にも近いものがあるのだが、はたしてそれは実現されるのか。
言うまでもなく、野党5党推薦候補者は原発再稼働に反対の立場である。自公が支持する候補者は野党5党推薦候補者とは反対の立場と思われるが、そう単純でもないようだ。いわば争点隠しである。
もとより、ひとつの県の知事選と国政とは直接関係はしない。
ただ、周知のように、今回の新潟知事選は、国政選挙にもつながる重要な選挙と言われている。
一人の市民として思うことは以下の点である。
ひとつは、原発再稼働という重要な政治課題について、慎重派もふくめて原発再稼働に反対という要求は一致しているのに、政治勢力としては二分されてしまっていることだ。
それが争点ということになるのかもしれないが、要求は一致しているのに政治勢力としては分断されてしまっていること。これは沖縄の基地問題なども同様である。分断を乗り越えて解決していこうとする努力が政治に期待されるところであるのに、そうした政治的な努力が垣間見られないこと。
ひとつは、パワーポリティックスとして、勝ち負けが重要になってしまっていること。
ひとつは、政治不信が広がってしまっていること。
そして、これらは、制度的には小選挙区制度などのせいであるが、民意や要求が政治に反映されないという政治状況をつくりだしてしまったのは、安倍政治の責任が大きいのではないか。
安倍政治は、国民の要求で、やってほしいことはやらず、やらなくてよいことをやろうとしているアベコベ政権である。前者の代表例は原発に依存しない社会であり、後者の代表例は平和憲法を壊す壊憲である。
新潟県知事選挙の結果をみて、「いい風が吹いてきた」というような自公政権の認識では、民意や要求が政治に反映されるはずがない。
民意や要求を政治に反映するには、安倍政権に退陣してもらうしかないと思うのは、私だけだろうか。
今回の選挙結果は、原発再稼働反対という新潟県民と国民の要求にとって、プラスにはたらくのだろうか。
安倍自公政権のこれまでを見る限り、否定的に考えざるをえない。