「辺野古移設で国が不服審査請求 県の埋め立て撤回に対抗」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月17日15時55分)から。

 防衛省は17日、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設で、沖縄県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回に対する対抗措置をとった。行政不服審査法に基づき、石井啓一国土交通相に対し撤回の効力停止を申し立てた。9月末の沖縄県知事選で移設反対派が勝利して間もない中での対抗措置に県は反発している。

 沖縄防衛局職員らが17日午後1時半ごろ、東京・霞が関国交省に関係書類を提出。岩屋毅防衛相が直後、防衛省で記者団に公表した。岩屋氏は9月の知事選について、「選挙で示された民意は真摯(しんし)に受け止めなきゃいけない」としたものの、「抑止力を維持しながら沖縄の負担を少しでも軽減していかなければいけない」と述べ、普天間飛行場の危険性除去のために移設が必要とする従来の政府の主張を繰り返した。

 沖縄県は8月末、埋め立て承認を撤回し、移設工事は中断している。防衛省国交相が埋め立て承認撤回の効力停止を認めれば、ただちに工事を再開し、土砂投入にも踏み切る方針だ。

 2015年10月に沖縄県が承認を取り消した際にも防衛省は同じ手段で公有水面を管理する国交相に申し立てた。いわば「身内」への申し立てで、2週間程度で取り消し効力を停止する判断が出ている。これにならい今回も早期の埋め立て再開が見込める手続きを採用。同時に行政不服審査も請求した。

 しかし、翁長雄志(おながたけし)・前知事の死去に伴う9月の知事選は辺野古移設が争点となり、移設に反対する玉城デニー氏が過去最多得票で当選。今月12日の玉城新知事と安倍晋三首相による初めての会談は平行線に終わった。選挙からわずか半月、知事との面会が1回だけという中で政府が法的対抗措置をとったことに対する県の反発は大きい。

 玉城知事は17日、記者団の取材に「県知事選で示された辺野古反対の民意を踏みにじるもので、到底認められない。民意に対する政権の向き合い方があまりに強権的だという、この現実のあるがままを国民に見ていただきたい」と憤った。仮に国交相が効力停止を決めた場合は「内閣内部での自作自演」とも指摘した。(藤原慎一、山下龍一)

玉城デニー沖縄県知事「対話求めた5日後に…」
 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、県が埋め立て承認を撤回したのに対し、防衛省国土交通相に不服審査請求と撤回の効力を一時的に止める執行停止を申し立てたことについて、玉城デニー知事は17日、対話を求めて安倍晋三首相らと12日に面会したことを挙げ「そのわずか5日後に対抗措置を講じた国の姿勢は、知事選で改めて示された民意を踏みにじるもので、到底認められない」とするコメントを出した。

 また行政不服審査制度を国が利用することについては「制度の趣旨をねじ曲げた、違法で、法治国家にあるまじき行為と断じざるを得ない」と批判した。