映画"American Utopia" の "Road to Nowhere"(1985)

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American Utopia (soundtrack)

 David Byrne のコンサート映画 "American Utopia"(2020年)。

 そのSoundtrackからの一曲"Road to Nowhere"は、Talking Heads の アルバム"Little Creatures"(1985年)からの一曲。

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Little Creatures

 

 

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Talking Heads The Band & Their Music by David Gans

 

   ”Talking Heads ”The Band & Their Music by David Gans"は、俺の書棚にあるTalking Heads関連の一冊。そこではDavid Byrneは"Road to Nowhere"について次のように語っている。

Byrne:...kind of a gospel Cajun march. It's a happy, upbeat song, all these people singing about being on the road to oblivion. [The song was written in Los Angeles.](p.131 "Talking Heads" by Dagid Gans)

(拙訳)

バーン:("Road to Nowhere"は、)ゴスペル・ケイジャン*1行進曲。人々がoblivion大赦) への途中にいることを歌う楽しいアップビートの唄。[この唄はロサンゼルスで書かれた]

  以下は、"Road to Nowhere"の歌詞の一部。

 knowは状態動詞(state predicate verb)だから、普通は be knowing などと進行形にすることはない。もちろんこれはwriter’s privilege(書き手の特権)であるが。

Well we know where we're going
But we don't know where we've been
And we know what we're knowing
But we can't say what we've seen
And we're not little children
And we know what we want
And the future is certain
Give us time to work it out

(拙訳)

いま自分たちがどこに向かっているかはわかっているが、これまでどこにいたかはわからない

まさにいま何を知っているかはわかっているが、今まで何を知っていたかはわからない

私たちは小さな子どもではないし、何が望みであるかもわかっている

未来は確かで、未来に向かって努力する時間が必要だ

     人は、生まれ、生き、死んでいく。人生は旅のようなもの。終着地よりも道のりや過程を大事にすべきだというメッセージか。進んでいくときのかけ声が、安直な西部劇風のかけ声に聞こえるが、単にかけ声ということでたいした意味はないのだろう。

 「今朝は気分がいい」「自分たちはパラダイスに向かう途中だ さあ行こう」と、明るく楽天的だが、繰り返される"We're on a road to nowhere."(「自分たちはどこでもない場所に向かっている」)というフレーズは、バーンがいうように、忘却や大赦に向かっているということか。

 

 以下、YouTubeより。

Talking Heads - Road to Nowhere (Official Video) - YouTube

*1:ケイジャンとは、祖先が北米東部のアカディア地方に入植したフランス人の直系で、イギリス人によってアカディア地方から追放されたのち、アメリカ合州国ルイジアナ州に住みついた人々のことをいう。