人工知能AIと合州国シナリオ作家たちのストライキ

 それまでの伝統的な放映だけでなく、DVDのディスクやストリーミングサービスがあらたに加わっていく状況の変化の中で、新しいメディア放映方式に対する自分たちの取り分が少ないと不満をもったシナリオ作家たちによって100日のストライキ*1となった2007年。

 再度この5月2日から、1万Ⅰ千人にものぼるテレビ・映画のシナリオライター達によるストライキ (Writers on strike)でテレビ番組などの製作が止まった (many productions halted)。twitterを見ると本日もピケを張っているようだ。

 ギグエコノミー(gig economy)といわれるように、近年インターネットで仕事を見つけるフリーランス的な単発の仕事も増え、働き手の立場と価格が切り下げられ、流動化・不安定化している。一方、制作者側は、大幅な人員削減も検討しているようだ。

 フール―(Hulu)やHBO(HBO)、アマゾンプライム(Prime)、ネットフリックス(Netflix)、ディズニー(Disney)などのストリーミングの巨人企業は、大幅に儲けている一方、シナリオ作家たちの仕事はその価値が低下し、十分食べていけるだけのものをライター達に与えていない状況に追い込んでいる。多くのハリウッドスタジオやストリーミング会社・制作会社を代表して、シナリオ作家たちと契約の交渉にあたっている映画テレビ制作者同盟(The Alliance of Motion Pictures and Television Producers (AMPTP))に対して、10数年ぶりに脚本家組合(the Writers Guild of America (WGA) )がストライキに入った背景には、以下の動画ではあまり触れていないけれど、最近話題になっているAIも大いに影響しているようだ。

 以下は、Democracy Now!から。

 人気テレビドラマ「アボット小学校」("Abbott Elementary")の制作者のひとりであるブリタニ―・ニコルス(Brittani Nichols)のインタビューを聞くことができる。

www.youtube.com

 

 テレビ・映画の制作側は、熾烈な競争の中で、テレビ・映画製作の持続可能な安定性を追求するため、コストを抑えたいのだろう。人件費削減をはかるために、最近話題になっているAIを使って、AI(人工知能)に作文させたものをシナリオライター達に推敲させることも視野に入っているようだ。

 今日シナリオ作家だけでは食べていけないシナリオライター達が、さらにAI(人工知能)に仕事を奪われる危機感から、ストライキが行われている。

 これはシナリオライター達だけの問題ではない。シナリオライター達も強調しているのだが、明日は我が身ということを忘れてはいけないと主張している。

 

 以下は本ストライキを伝えている日本語記事。

「公平な支払いを」米脚本家のストライキ、巨額報酬を手にするCEOとの格差を指摘 | ハフポスト WORLD

 

ハリウッドで脚本家らがストライキを開始 その経緯と現状とは? | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-

*1:2007年11月から2008年2月にかけての4ヶ月中の100日。