第二夜は牛しゃぶにした

 まずは、牧師でもあるニックに食事前のお祈りをお願いした。彼は、「喜んで」と言って、神に感謝するお祈りをしてくれた。
 まずホストとして、ソフトドリンクは、「ご自由にお飲み下さい」と伝える。ニックに「ワインはどうですか」というと、「是非」というので、スパのある部屋の二台目の冷蔵庫から、シャルドネを二本持ってきて、どちらがお好みか聞いた。
 ニックが好きだとハンナから聞いていたので、オードブルとして生牡蠣を、彼と私でシェアする。子ども達も、もし挑戦してみたかったらと言ったが、やはり生牡蠣の味は子どもには無理のようだ。
 本日の刺身は、恒例のホタテ、スナッパー(鯛)と、それにマグロを用意した。またアボカドをすって、少しワサビを入れた奴と、玉子焼きも作った。玉子焼きは、醤油と赤砂糖を入れて少し甘めにした。これに小魚を入れるともっとうまくなるんだけど。
 続いて、海苔と、寿司飯とで、寿司を食べてもらう。彼らはスシというと、巻き物と思っているから、一通り寿司のレクチャーをして、一同に寿司の良さを納得してもらう。
 寿司の香りがいいと褒めてくれる。
 次に、牛しゃぶに移る。
 牛しゃぶは、牛肉では特上のアイフィレ、そして、それよりは少し格が落ちるが柔らかいランプを、しゃぶしゃぶ用に薄く切ってもらった。豚しゃぶと同様、少しだけ厚めではあるのだけれど。アイフィレは高くて、500gで18.25ドル。ランプは500gで9ドルだ。
 タレは、私が作った大根おろしと醤油、そして少しラー油をいれた自家製タレと、市販のポン酢とゴマダレを用意した。
 牛しゃぶに移っても、寿司に戻っていいことも忘れずに私は伝えた。
 この牛しゃぶは好評だった。まんざらお世辞でもないようで、寿司の作り方も、しゃぶしゃぶの作り方も伝授したから、ニックは「我が家でもやろう」とかなり気に入ってくれている。
 牛肉は1キロ買って、白い薄皿に8割がた用意したから、彼らはかなり食べたと思うが、「うどんがあるけど、まだ入りますか」と私が尋ねると、ニックは「是非」と言うので、うどんは二皿用意したけれど、一皿だけ調理することにした。
 アジアンマーケットでは、生のうどんも売っているけれど、いわゆるインスタント食品で、いつ作られたものかわからない。新鮮さが疑問なので、いわゆる乾燥麺を買ってきて、パーティ直前に私が茹でたものだ。
 アジア系の食材は、アジアンマーケットでも、6割がたが中華系で、3割くらいが韓国系、残りの1割くらいが日本系である。そのせいか、日本食品は結構高い。
 コブでも、うどんでも、中華系や韓国系も同じようなものだから、同じようなものだったら、韓国系の方が安い気がする。だから、コブでも、うどんでも、私は韓国製のファンだ。慎重な性格である私は、昼にこのうどんを試食してみたが、この細うどんはうまかった。
 味つけは、醤油だけ。「ちょっと失礼。味をみますからね」と私は約束どおり、日本語を使って、味見をする。特上の牛肉をふんだんに使っているから、これもいいスープにならないはずがない。
 ニックは、「これもおいしいね」と言ってくれた。