カリフォルニアの大学についてトニーに聞いた

感謝祭の七面鳥

 今お世話になっているジェニーの家の旦那のトニーはとても面白い男だ。
 彼はウェストポイント*1出身で、その後UCLAも出たエンジニアだ。
 カリフォルニアの大学のレベルは、もちろん学部や学科によって違うけれど、エンジニアなら、UC Berkeley, UCLA, Stanfordなどは、みな同じように高いレベルだという。
 どのようにレベルが高いかというと、彼いわく一流の学者をそろえている点にあるという。
 教え方がうまいとかいう話ではない。中には満足に英語も喋れない学者もいて、そもそも、彼が通っていた頃のUCLAは、アメリカ人の教授の方が少なかったらしい。イギリス、ギリシャ、アジアなど、世界中から、一流の学者をUCLAは引っ張ってきたいたからだという。
 トニーいわく、他の大学は、パーティをして遊びながら卒業証書(diploma)が取れるのだから、悪い話ではないけれど、レベル的にはそれほど高くはないという。
 これはカリフォルニア州の大学ではないけれど、ウェストポイントも中間くらいのレベルだという。
 言ってみれば、学生が教官から言われたことをやる大学だ。
 けれども、UCLAやUCバークレースタンフォードなら、そうはいかない。こうした大学では、クリエイティブであることが求められるからである。
 公立大学の場合は、教授も大学の給与などあてにしないらしい。
 優秀な教授ならば、大学に二日通うとしたら、企業に三日通って、研究費を調達するという。
 こうした教授たちが大学に籍を置くのは、いわばステイタスのためだ。
 大企業も、優秀な頭脳による精緻な資料を求めるから、こうしてアメリカ合州国は、産学共同路線が徹底している。
 なんとも憂鬱で、ため息が出る話だ。
 彼自身、UCLAでは成績はBが多かったが、バランスを考えれば、それくらいの成績でいいと考えたという。
 トニーの祖父はイタリア移民で、いわば苦労したのだけれど、彼の知っているイタリア語は、パスタ(pasta), スパゲティ(spagetti)くらいと冗談を言うから、私も「risotto*2, fiasco*3もでしょ」と言ったら、笑っていた。
 ジェニーに言わせると、トニーはドイツに住んでいたことがあるから、トニーはイタリア語よりはドイツ語の方が得意という話だ。
 彼のビール好きはドイツでの生活に端を発している。

*1:USMA, United States Military Academyのこと。ウェストポイント陸軍士官学校

*2:イタリアの米料理。リゾットのこと。

*3:イタリア語で「大失敗」の意味。もちろんすでに英語になっている。