マオリ語はいったんは、死に絶えつつあった言語だ。
マオリルネッサンス、マオリ復活運動の中で、土地と言語を二本柱としてマオリが闘ってきて、タオンガ(財産)として言語をとらえ直したのである。
ネイピアのトータルエマージョンの学校では、マオリ語中心で、英語をひとつの科目として学ばせる、いわば日本の英語教育のような位置づけで話をしていたのに対して、この園長の話では、もう少し若いときから、マオリ語と同様に英語も身につけさせるのがいいのではないかと言った。
コハンガレオでマオリ語によってアイデンティティをしっかりとつけて、英語も学ばせ、二重言語話者にするというのが、この園長の戦略だ。
「ともかく英語は支配的言語だからね」と、この園長は言った。
「英語が国際語だとは思いませんが、ビジネス言語や、生活のため、仕事を得るため、生き残るためには、英語を認めざるをえないということですか」と私が確認をすると、園長は肯定した。