正規雇用の熟練労働者が未然に事故を防ぎ安全性の向上に役立っていることが案外に多い

 現在の私の心配のひとつは、予算削減のために民間でできることは民間でという新自由主義的な風潮が強まる中で、現場の声が軽視ないし無視され、外部委託がすすみ、人災が今後さらに増えやしないかという心配である。
 事故が起こらなければ世間から評価もされないものだが、実際は、現場を熟知し、臨機応変に対応できる能力をもった現場の労働者、熟練工的管理者*1に、多くのことが救われ、事故を未然に防いでいるのである。これは団塊の世代が離職すれば、もっと明確に見えるかたちになると予測している人が多いのだが、えばってばかりの、そして給料も理由もなく高い、無能な「管理者」*2は、そうしたことが見えず、実は必要な予算を削るだけの無能ぶりが今の日本に目立つ気がするのは、私個人の思い過ごしだろうか。
 外部委託について批判的に述べたが、もちろん外部委託一般がいけないわけではない。外部委託によって、現場をきちんと管理できる専門家集団をないがしろにして、コストの安い無責任体制に取りかえることを批判しているのである。
 本来安全が最優先課題であるはずなのに、新自由主義的風潮のもとで、こうした無責任体制がすすみ、安全が後回しにされていないかという心配なのである。
 まさに取り返しのつかない事故が起こってからでは遅いのである。

*1:ここでいう熟練工的管理者とは、私の勝手な造語だが、現場の労働者を指している。しっかりした現場の熟練労働者でこそ、現場をコントロール、管理できるのであるという意味で用いている。

*2:世間でいうところの「管理者」は、実際に管理しているのかという皮肉を込めて、ここではカッコをつけて用いた。これはレトリックである。世間でいうところの管理者が、実際にきちんと管理している例も少なくないだろう。管理者も、当然、素晴らしい管理者とダメ管理者に分かれることは言うまでもない。