「アメリカが憎まれ嫌われているという現実」

Sail Away

 昨日紹介した猿谷要さんの「アメリカよ、美しく年をとれ (岩波新書)」の構成は、序章が「アメリカは若い国か」、第1章が「アメリカが愛されていた頃」、第2章が「“天国”のなかの“地獄”」、第3章が「“天国”のなかの混沌」となっていて、第4章は「アメリカが嫌われるようになって」、そして終章が、「アメリカよ、美しく年をとれ」となっている。
 第4章で、アメリカ合州国は「いつ頃からそれほど嫌われるようになったのか」との問いを発し、「ブッシュ大統領だけが、その原因のすべてを負うものではない」としながらも、「しかしブッシュ政権は成立してから僅か二ヵ月あまりで、京都議定書から離脱した。自国の産業界の要請にこたえて、人類の将来を見通す眼が失われてしまったのだ。これは9・11同時多発テロが起こる半年も前のことである。 この時点で嫌われる要素が倍増したといっていい。同じその年のうちにアメリカは、ABM制限条約の一方的な脱退をロシアに通告、さらに生物兵器禁止条約にも参加せず、ひたすら「一国中心主義」の道を歩んだ。これでは他の国々から嫌われるようになるのは当然のことだろう」と書かれている。
 こうした記述を読むと、またしても私はランディ・ニューマンが歌った「政治学」(Political Science)*1という唄を思い出さざるをえなくなってしまう。
 別のところで猿谷さんが書かれていた「はからずも、ハリケーンニューオーリンズの人種別居住地域をはっきりと浮かび上がらせた」という記述も、同じくランディ・ニューマンのアルバムGood Old Boysの中のLouisiana 1927という名曲を、そしてジョージア州知事になったレスターマドックスの話は、同アルバムの中のRednecksという唄を私は思い出さざるをえない。
 ランディ・ニューマンの唄は、アメリカ合州国の社会と歴史を反映したものが少なくないからだ。

*1:Political ScienceはアルバムSail Awayの中に収められている。