湯崗子温泉での夕食

 さて、夕食である。
 先ほどから何度も書いているように、ここ湯崗子温泉に日本人はあまり来ないのだろう。ルームキーのカードの裏に書いてあった諸注意は、ロシア語だけが併記されていて、英語も日本語もなかった。そのせいか、湯崗子温泉の食堂にはビールはあるけれど、紹興酒はないとのことだ。推測に過ぎないけれど、ここを多く訪れるロシア人たちは紹興酒などに興味を示すことがないのだろう。
 明るい食堂の円卓で食事をとるのは、いつもと同様だが、ビールをついでくれる女の子たちに年齢を聞いてみたら16歳だという。彼や彼女たちは、実に素朴な雰囲気で、商業主義に毒されていない印象がある。
中国のIT化もめざましいから、携帯電話やデジタルカメラに対してそれほど興味を示す中国人はこれまでいなかったが、こうしたIT機器に興味津々という感じだった。16歳なら、箸が転んでも可笑しい年頃ということなのかもしれないが、私が片言の中国語で、「謝謝(シエシエ)」とか「我是日本人(ウォーシーリーベンレン)」と言うと、おかしな発音の中国語に反応して微笑んでいる。感じのいい子たちだ。

 中国の料理は、どこでも美味しいけれど、今回の料理の中では、めずらしく生野菜が出た。日本の野菜よりもひとまわり大きい。日本の味噌とは全く違うが、味噌のようなものをつけて食べる。日本で言えば、モロキューか。きゅうりやなす、ピーマンなどの生野菜がとても美味しかった。
 湯崗子温泉はなかなかいいところだ。