黒澤明監督の「生きものの記録」を観た

生きものの記録

 黒澤明監督の映画「生きものの記録」を観た。
 1955年の作品。「七人の侍」後の、黒澤映画次回作である。核実験が世界の世論の反対にあっても続けられていた中で、とりわけ1954年3月1日のビキニ環礁の水爆実験による事件が背景にあることは言うまでもない。
 水爆の恐ろしさ、放射能汚染の恐ろしさをあらためて教えてくれるこの映画の先見性・思想性は深い。
 実際、放射能の恐怖に怯える人間と、怖くたってそんなことに構ってはいられないという人間と、どちらがおかしいのか、正常なのか。今日に通じる問題提起だ。
 三船敏郎の演技が素晴らしい。おそらく撮影時に35歳くらいだった三船の老け役は見事である。