以下、朝日新聞デジタル版(2018年6月6日09時10分)から。
改ざんのそもそものきっかけは何だったのか。安倍晋三首相夫妻への「忖度(そんたく)」はなかったのか。5日の国会審議では、財務省が公文書改ざん調査で明らかにしなかった点に疑問が投げかけられ、内部調査の限界を指摘する声が与党内からも上がった。首相は公文書管理の見直しを指示したものの、消極姿勢が際だった。
改ざんを生んだ森友学園との国有地取引問題では今も、新設予定だった小学校の名誉校長だった首相の妻昭恵氏の関わりや、首相夫妻に対する忖度の有無が大きな焦点だ。
5日午前の衆院財務金融委員会では、麻生太郎財務相が「少なくとも私どもが調べた範囲で、安倍首相、昭恵夫人の関与は認められない。それがはっきりした」と強調した。
ところが、質疑ではその根拠の乏しさが露呈した。
麻生氏は首相夫妻の関わりや忖度の有無を調査したのか問われ、「当然だ。しっかり指示している」と答弁したが、調査責任者の矢野康治官房長は「誘導的な聞き方をするのは良くないので『動機があったのなら動機を複数全部言え』ということに尽きる」と説明。忖度の有無は「明示的には聞いていない」と認めた。
改ざんが始まったきっかけもはっきりしなかった。
財務省の調査報告書では、「私や妻が関与していれば首相も国会議員も辞める」との昨年2月の首相答弁後に改ざんが始まったと結論づけたが、麻生氏はこの日の答弁で「総理答弁が問題のきっかけになったとは考えていない」と繰り返した。
国民民主党の今井雅人氏は「じゃあなぜ、昭恵さんの名前を消さなければいけないのか説明がつかない」とただしたが、経緯は不透明なまま。今井氏は「あきれてものが言えない」と不満をぶちまけた。
(後略)
(南彰 又吉俊充)