「辺野古、知事が撤回表明 国の土砂投入阻止図る 埋め立て承認」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年7月27日16時30分)から。

 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、翁長雄志(おながたけし)知事は27日会見し、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明した。国は早ければ8月17日から土砂を投入する予定で、これを止める狙いがある。

 翁長氏は「本日、埋め立て承認の撤回に向けて、手続きに入るよう関係部局長に指示した。埋め立て承認時には明らかにされなかった事実が判明し、国土利用上適正かつ合理的との(埋め立て承認の)要件も満たしていない」と述べた。

 撤回は、事業主体による承認後の重大な違反や問題を理由に、承認の効力を失わせるもの。翁長氏は撤回に踏み切る具体的な理由として、埋め立て予定地の地盤が軟弱であり、事業主である沖縄防衛局が、現在の設計では安全性を確保できないと認識しながら工事を強行してきたことや、県と事前に協議してこなかったことなどを挙げた。

 17日には防衛局に対し、これらを根拠にして工事の即時停止を求める文書を出したが、作業は止まっていない。本島北部の港では、投入する土砂の船への積み込みが進んでいる。こうした状況も受け、翁長氏は25、26両日、副知事ら県幹部と協議し、撤回に向けた手続きに入ることにした。

 撤回には、国側からの反論を聴く「聴聞」の手続きが必要。県は近く防衛局に対して聴聞を実施すると通知する。聴聞の時期は1〜2週間後で、内容を精査し、その後2週間程度で撤回する。

 土砂投入が続くと辺野古の海の原状回復が難しくなることもあり、県は、国が土砂を投入する前の8月中旬には、撤回に踏み切る考えだ。

 翁長氏が撤回に踏み切れば、国は埋め立てができる法的根拠を失い、工事をいったん止めなければならない。だが、国はその効力を一時的に失わせる執行停止を裁判所に申し立てる予定だ。国側の言い分が認められれば、数週間から数カ月で工事が再開される可能性がある。

 菅義偉官房長官は27日午前の会見で、「沖縄県から何らかの通知などが来れば、法令の規定に従い、適切に対応する。辺野古移設に向けた工事を進めていく考えに変わりはない」と述べた。

 (山下龍一)